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連続テレビ小説『べっぴんさん』第7週、すみれ(芳根京子)はいまだ消息不明の夫・紀夫(永山絢斗)の両親から「息子は戦死したかもしれない、どうかもう待たないでくれ」と懇願される。困惑するすみれを、思いを寄せる栄輔(松下優也)が優しく励ます。「強う思ってたら、願いは叶うもんや。頑張りや」と紀夫の帰りを待つすみれを応援する栄輔。

 

同じころ、ベビーショップでは、良子(百田夏菜子)や君枝(土村芳)の子どもたちが復員した夫に懐かないという悩みを話し合っている。紀夫を思ってさらに落ち込むすみれ。それを見ていた明美(谷村美月)は「あんたは淡々としていればいい」とアドバイスを送る。

 

ある日の朝、麻田(市村正親)が商店街の空き店舗にベビーショップを移転したらどうかと提案する。不安に思うすみれたちだが、いざ見学をすると「ベビー用品だけでなく、子供服も置けるのではないか」とアイデアが膨らみ「ぜひ挑戦してみたい」と思う。

 

新店舗移転に向けて、動き出したすみれたち。店舗のデザインや、方々から手に入れた生地を使って子ども服作りの試作を始める。空き店舗に見学にやってきた良子や君枝の夫たちと子どもたちの仲むつまじい姿を見て、寂しげなすみれとさくら(河上咲桜)。そのさくらを父親のように抱き上げたのは栄輔だった。

 

「さくらちゃん、元気やったか。高い高い!」

 

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店の移転を決めたすみれは、梅田の五十八(生瀬勝久)のもとを訪ねる。報告を受け、「そら、大したもんや!」と感心する五十八。また潔(高良健吾)は、「みんながおしゃれをしたいと思っている」と言うすみれの言葉からビジネスチャンスのヒントを掴む。

 

梅田から戻ったすみれは、栄輔に聞いた進駐軍専門の店で生地が手に入るかもしれないと話す。テーブルクロスの発注を受けたリサ夫人を介して布を入手することを思いつく君枝。快諾してくれたリサ夫人のおかげで、さまざまな布を手に入れたすみれたちは、おしゃれな子供服をいくつも完成させる。

 

一方、闇市では五十八の話を聞いた元締めの根本(団時朗)が、ここを安全な場所に変えていくと演説を打つ。今後場銭は取らない。そのぶんお客に安く品物を売って、「女、子供が安心して買い物ができる“商店街”にして欲しい」と。そんな根本の提案にゆり(蓮佛美沙子)も賛同し、「女が来ない市場に、未来はありません!」と主張する。

 

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子ども服作りに没頭して夜遅くなったある晩、すみれを家に送って行った栄輔に、さくらが帰らないでとだだをこねる。喜代(宮田圭子)は、栄輔に泊まってもらえないだろうかと頼むが、すみれは迷惑だろうとためらう。すると、栄輔は嬉しそうに快諾する。

 

夜が更け、自分たちの家族について語り合うすみれたち。紀夫の浴衣を着た栄輔に「紀夫はどんな人なのか」と訊ねられ、すみれは結婚式の写真を見せる。笑顔のすみれの隣の紀夫を見て、胸が締め付けられる栄輔。そこへ起きてきたさくらが栄輔を「お父さん」と呼んでしまう。慌てて謝るすみれに、栄輔は「なんやろ、ええなあって思ったわ、今。家族ってええなあって」と微笑むのだった。

 

翌朝、さくらと一緒に栄輔を見送るすみれ。ふと桜の木に目を留めた栄輔は、今年はすみれとさくらと自分の3人で満開の桜を見ようと約束する。ところが梅田に戻った栄輔に、潔は「すみれを好きになってはならない」とくぎを刺す。自分たちは坂東家に仕える身であり、当主は紀夫であることを忘れるな、と。反発する栄輔は、潔がゆりや五十八に遠慮して思っていることが言えないと指摘すると「わしは違う。わしは、自分は生きたいように生きますわ」と言い放つ。

 

翌日、出勤したすみれは商店街で時子の夫を弔う葬送行列を目撃する。いまだに生死さえわからない紀夫を思い、不安を募らせるすみれ。その場を飛び出し、紀夫の消息を聞くために五十八のもとへと向かう。しかし有力な情報もなく絶望するすみれに、五十八は「ちょっとずつでええから、紀夫君がおらへん人生を考えることも必要やないかと思ってる。新しいことも始まる。前を見るんや」と告げる。大雨の中、その場を飛び出すすみれを追いかける栄輔。すみれの涙を見て、ただ傘を渡すだけで何も言うことができない。

 

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店に行かず家に閉じこもるすみれを明美が訪ねる。「あんたの旦那が死んどるか生きとるか、あんたが決めたらええ。決めたら楽やで」と励ます。翌朝、すみれの出勤を待ちわびる君枝と良子。すみれが店に到着するなり、新しい店の名前を付けようと提案する。

 

そのころ梅田では、潔がゆりに「近江の麻糸を原料にして布にする」と告げる。遠慮があって言えなかったが、「わしらの未来のため、坂東営業部の復活のために、先代のお父さんとお母さんがやっとったことをわしはゆりとやりたい」と潔。その言葉に「やっと自分の考えを話してくれた」と涙を流して喜ぶゆりは、近江に行くことを承知する。

 

ある朝、出勤しようと家を出るすみれを栄輔が待っていた。心配していたという栄輔が「わしでよかったら……」と言いかけると、そこに手紙が届く。

 

「すみれが無事でいることを信じています。桜の咲くころ、帰ります。早くすみれに会いたいです」。そう綴られた手紙は、待ちわびていた紀夫からのものだった。大粒の涙を流して喜ぶすみれ、しかし栄輔の気持ちは晴れない。

 

開店準備に忙しいすみれたち。新しい店の名前は、すみれたち4人の名前から一文字ずつとり「キアリス」と名付けられる。シンボルマークは、良子のアイデアで従来のクローバーにリスのイラストを加えることで決定。4人はオープンに向けて心を躍らせる。

 

傘を返そうと、梅田のゆりたちの家を訪ねるすみれ。栄輔に「これまで親切にしてくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝える。「栄輔さんにいつも救われた」と。栄輔は自分の気持ちを押し殺し、さくらを抱き上げ陽気に振る舞うのだった。

 

それから数日後、春の訪れとともに咲き誇る桜。栄輔は闇市の片隅でひとり、満開の桜を見上げている。一方、すみれはさくらと神戸を見下ろす高台で桜を見上げていた。そのとき、ついに紀夫が帰還する。桜の花びらが舞うなか、初めて見る娘・さくらの手を握り、すみれの手を取る紀夫はこう告げるのだった。

 

「ただいま……」

 

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第8週の『べっぴんさん』は、ようやく帰還した紀夫は、戦地での過酷な経験から、人を信じられなくなっていた。すみれが友人たちと協力してお店をやっていると聞くと、そこには裏があると言いだしたり、歓迎会でも横柄な態度をとってしまう。さらに自分が「坂東営業部」を立て直すと宣言するが、潔とゆりがすでに動いていることを知ると、ふてくされて他の仕事を探し始めてしまう。オープンした「キアリス」は、初日から大盛況。それぞれの家族がお祝いに集まる中、紀夫だけは姿を見せない……。

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