連続テレビ小説『べっぴんさん』の第18週は、すみれ(芳根京子)の娘・さくら(井頭愛海)は、相変わらず家出を続けていた。「キアリス」には夏休み中の君枝(土村芳)の息子・健太郎(古川雄輝)と、良子(百田夏菜子)の息子・龍一(森永悠希)がアルバイトにやってくる。

 

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そんなある日、ジャズ喫茶「ヨーソロー」で働いていた五月(久保田紗友)が、何も言わずに姿を消してしまう。恋人の二郎(林遣都)は五月を探すがみつからない。さくらは代わりに「ヨーソロー」で働くようになる。

 

このころのキアリスは、大急百貨店の展示の効果もあってか、肌着の売上げが伸びていた。すみれたちが肌着用のメリヤス生地を増産してもらおうと相談をしていると、そこに取引先の工場から廃業を伝える手紙が届く。工場回りを担当している足立(中島広稀)もそんな兆候はなかったと言って困惑する。主力商品の生地が調達できなくなる危機に直面し、戸惑うキアリスのメンバー。

 

すみれは、父・五十八(生瀬勝久)と共に、赤ちゃん用肌着の素材となるメリヤスを作る工場を訪ねる。坂東営業部時代にメリヤス工場とつきあいがあった五十八は、今も現役で稼働している機械に感心する。しかし、工場の経営は、傾いており経営者も体調を崩している状態だった。すみれは肌着が作れなくなることを心配し、継続して作ってもらえないかと頼むが、工場はすでに他の経営者に売却されることが決まっていた。現在、社長を務める長野和弘(杉森大祐)から、その新たな経営者を紹介されるすみれと五十八。工場を買収したのが「エイス」の社長・栄輔(松下優也)だと知り、驚くのだった。

 

すみれは、今後もキアリスにメリヤスを卸してもらえるよう栄輔に頼むが、きっぱり断られる。メリヤス工場を建て替え、新しい機械を置いておしゃれな生地を作る計画だと語る栄輔。和弘の話では、先代が入退院を繰り返し、工場の経営悪化に苦しんでいるとき、悩みを聞いてくれたのは栄輔だったという。一方、キアリスの担当の足立は、「いいですね、最高ですね」と褒めるだけで、経営状況などまったく関心がない。「そやけど現実問題、嫁もおる、子供らもおる。食わしていくんは難儀なことなんです!」と和弘。

 

すみれは、話が終わり立ち去ろうする栄輔を引き止める。しかし、栄輔は、「やっぱりあなたは、人の心がわからん人や」と言い放ち、そのまま去っていった。

 

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すみれは、キアリスの仲間と共に新しく仕入れるメリヤス生地を探し始めるが、なかなか既存品に代わる質の良いものが見つからない。大急百貨店のキアリスの売り場に、メリヤス工場で長年メリヤスを編んできた職人・橋詰(佐川満男)が孫の肌着を買いに訪れる。

 

「孫ができたらキアリスさんで揃えてやりたいと思ってました」。そう語る橋詰に、メリヤスで作られたベビー服を見繕ってプレゼントするすみれ。工場の経営状況も知らずに、当たり前のように発注していたことを詫びる。すると、橋詰は、足立が工場を訪れるたびにメリヤス編みの様子を楽しそうに見つめている姿が「励みになった」と言って笑うのだった。

 

そんな折、五十八は、家出中のさくらを大急百貨店に連れていく。すみれが作った「女の一生」をテーマにした展示をみせながら、さくらの心を開こうとした五十八だったが、そこで栄輔と出会う。栄輔の店が百貨店にも出店していると知り、感心する五十八は、「君みたいに、大きな目標を掲げているわけやないけど、結果的には、すみれたちも同じもんを目指してるやと思うわ」と栄輔を説得。すみれを助けてやってほしいと頭を下げて頼むのだった。

 

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五十八の態度に驚いた栄輔は、やりとりを黙って見ていたさくらに声をかける。「この展示のお披露目のときに、スピーチがあったんです」。そう切り出すと、すみれのスピーチの内容を伝える。「生まれてくる赤ちゃんたちにどう生きてもいい。どんな風に生きても、それが自分の選んだ道ならば応援するという母親たちからの思いも込められています」と。展示をじっと見つめるさくら。

 

その晩、すみれたちに明日、近江に帰ると告げる五十八。夕食後、居間でひとり、棚に飾られた昔の家族写真を見つめていると、突然、胸に激しい痛みが起こる。しかし、翌朝になると、何事もなかったようにすみれたちに笑顔を見せる。そして、栄輔に会ったとき、キアリスの力になってほしいと頼んでみたと報告する五十八は、「お前からも頼んでみなさい。ええほうに行くように願ごうとるから」とすみれの背中を押す。「親いうのは、ありがたいものやな」。五十八を見送る紀夫(永山絢斗)とすみれ。

 

そのころ、大急百貨店の栄輔の店に、行方知れずの五月が姿を現す。二郎の夢の邪魔になりたくないから神戸を出てきたと言う五月は、栄輔のところで働かせてほしいと頼む。「よっしゃ、ええで」と快諾する栄輔に、五月は、ヨーソローのすずが、栄輔のことを「人を蹴落とすだけやとここまでやってこられへん。きっと助けてもきたはずや」と言っていたと語る。一方、紀夫は、家出中の娘・さくらがジャズ喫茶「ヨーソロー」で働いていると知り、慌てて店に向かう。紀夫の姿を見て物陰に隠れるさくら。

 

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オライオンを率いる潔(高良健吾)は、かつての盟友・栄輔から、業務提携の話を持ちかけられる。若者に大人気の「エイス」の集客力に魅力を感じる潔は考えさせてほしいと言いながらも、急に話題を変える。

 

「栄輔、なんで突然姿を消した?」と潔。さらに、メリヤス工場の件では、なぜ、キアリスの力になってやれないのかと問い、「あのころのお前はいつでも、すみれちゃんの力になってやってたやないか」と諭す。何も言い返せない栄輔。

 

その日の夕方、キアリスに栄輔がやってくる。明美が自分たちにも反省点はあるが、急な事態に困っているから何とかしてほしいと頼むと、「はい」と二つ返事で承諾する栄輔。驚くすみれたちに、メリヤスを編む機械を残すことを告げ、「今後の取引お願いします」と頭を下げるのだった。

 

ある日、すみれは五月を大急百貨店でみかける。キアリスでアルバイト中の健太郎と龍一から事情を聞いたすみれは、明美(谷村美月)と共に再び大急を訪れ、五月が妊娠していることを知る。五月を自分の家に住まわせることにしたすみれは、事情をママのすず(江波杏子)に伝えるため「ヨーソロー」を訪れる。

 

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店にはさくらと健太郎の姿もあった。五月が妊娠していることをすずに告げ、おなかの子の父親を訊ねる明美。「二郎やと思う」という言葉に、「そないなこと……」とつぶやくさくら。その呆然とした表情を見たすみれは、さくらが二郎に思いを寄せていることを知る。「あの子はそういう子や、大切な人のためなら、自分を犠牲にすることができる子」とすず。

 

キアリスでアルバイトをしている健太郎が、すみれに話したいことがあるとやってくる。このままでは家出中のさくらが東京に行ってしまうと言うのだ。すみれと紀夫は、慌ててジャズ喫茶「ヨーソロー」へ向かい、さくらをみつける。上京しようとしている二郎を追って東京に行きたいと言うさくらに必死で思いを伝えるすみれ。しかし、さくらは「二郎さんと一緒やったらそれだけで幸せよ」と言い、聞く耳をもたない。そんなさくらを「五月ちゃんはどうなるの? どうして自分のことしか考えられないの?」と叱責するすみれ。五月の妊娠についてきちんと二郎に話すべきだとさくらを説得するのだった。

 

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第19週の『べっぴんさん』は、ドラム奏者としてプロを目指していた二郎は東京のスカウトから誘いを受けていたが、さくらから、恋人の五月が妊娠していることを伝えられる。五月が姿を消した本当の理由を知った二郎は、すぐに五月が居るすみれたちの家を訪ねるが、五月には「重荷になりたくない」と拒まれてしまう。そんな中、執事の忠一郎(曽我廼家文童)から、父・五十八が倒れたという連絡が入る。すみれたちは急いで近江の実家を訪ねるが……。

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