ここ人形町も、歌舞伎とは縁の深い町。今回、坂東彌十郎さんがまず、飛び込んだのは手ぬぐいとゆかたの製造卸問屋、その名も〝梨園染〟の「戸田屋商店」です。創業明治5年という老舗ですが、じつは彌十郎さん、ご贔屓筋に配る手ぬぐいをこちらに発注しているのでした。
続いて、彌十郎さんが向かったのは、粋なたたずまいのお店が建ち並ぶ甘酒横丁です。ここには彌十郎さんはもちろんのこと、多くの名優たちが愛してやまない〝和スイーツ〟がありました。
【戸田屋商店】
創業145年、庶民の粋と伝統を守り育ててきた老舗。歌舞伎の舞台場面をモチーフにした歌舞伎柄や、定番の小紋柄のほか、客の要望に応じたオリジナル手ぬぐいも製作してくれる。
住所:東京都中央区日本橋堀留町2-1-11
TEL:03-3661-9566
営業時間:9:00~17:00
定休日:土日、祝日
【凡味(ぼんみ)】
もともとは、代々続く呉服屋。江戸料理の第一人者と交流があった女将が、呉服屋さんの傍ら江戸料理を始め、昭和55年に懐石料理のお店「凡味」を開業。看板料理は、3日間かけて南高梅から塩分と酸味を抜き、蜜で煮た絶妙な甘さの「太郎梅」と、生の白胡麻を使った「胡麻豆腐」。煎り胡麻のたれとともに供され、濃厚な味わいとなめらかな口当たりを堪能できる。
※懐石料理は前日までに予約が必要。また「太郎梅」「胡麻豆腐」は現在、持ち帰りのみでこちらも要予約。それぞれ、3個入りで1,500円(税別)。
住所:東京都中央区日本橋人形町2-32-3
TEL:03-3669-4671
営業時間:11:00~22:00(LO 20:00)
定休日:日曜、祝日
坂東彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)
1956年、往年の銀幕の大スター・初代坂東好太郎の三男として生まれる。祖父は十三代目守田勘彌。1973年5月、歌舞伎座 『奴道成寺』 の観念坊で初舞台。八代目坂東三津五郎、三代目市川猿之助のもとで芸を磨く。近年ではコクーン歌舞伎や平成中村座など、十八代目中村勘三郎との共演も多数。平成中村座の海外公演にも参加してきた。また、今年(2016年)5月には、ヨーロッパ(フランス、スイス、スペイン)で歌舞伎の自主公演を敢行。大好評を博した。長男は初代坂東新悟(26)。