いよいよゆめこ出産話完結編。

差し入れを持ってきただけのつもりがバタバタに巻き込まれて立ち会う羽目になってしまったばあばからの視点も交えながらの、ゆめこ出産の瞬間です。

 

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LDR室(陣痛・分娩・回復を一つの部屋で行うことがでできる部屋)が完全に分娩室へと形を変え、あとはゆめこが出てくる瞬間を待つばかりとなりました。

何度経験しても慣れることなどないであろう激痛。とはいえ一度経験している強みでしょうか、痛みの具合から、ゆめこがもうそこまできていることがわかりました。

あとはいきむだけ。そう思えば繰り返し襲ってくる激痛もなんとかやり過ごせます。私は助産師さんから出される「いきんで!」の合図を待ちました。

 

ところが。

待てど暮らせどその合図が出ないのです。

さすがの私ももう限界。たまらず「まだなんですか」と凄む(私は質問しただけなのですが、どう見ても凄んでいたとのことです)と助産師さんも困惑顔。

 

「子宮口が開いていないから……まだいきまないでください」

 

「でも!もうそこまできてますよ!私わかるんです!」

 

「はい、赤ちゃんはもうそこまで降りてきています。でも子宮口が開いていないからいきんじゃダメ。深呼吸して痛みを逃して!」

 

「ええええええええええ!?」

 

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出産は基本的に、陣痛との戦いです。

赤ちゃんが出てくる瞬間の痛みは一瞬で、実は私も全く記憶にないほど。

いきむ瞬間までこぎつければあとはもう終わったも同然なのですが、いきむことを禁じられてしまった以上繰り返し襲ってくる陣痛に延々耐えることになります。

しかもゆめこはもうそこまで降りてきているのですから痛みはクライマックス級。これをやり過ごすって何!?深呼吸ごときでそれができると思ってんの!?解脱でもしてなきゃ無理だよ!!

とまあ、こんな状態です。

 

悲しいことに、ここからが長かった。

 

何度尋ねても助産師さんの答えは「まだ」

挙げ句の果てには、あまりに動きがないため先生は分娩室を出て行き、助産師さんたちも一旦休憩の体制に入り始めました。

こういう時にまだ周りが見えてしまうの損な性質の私。絶望のあまり半分過呼吸のようになりながら叫んだ記憶がおぼろげに残っています。

 

「な゛ん゛で゛た゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛? !!!!」

 

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その様子はまさに「藤●竜也のモノマネをする人のアレのようだった」とのちにばあばは語りました。

 

結局、GOサインが出たのはそれから2時間後。

「あ、もういいよ、いきんで。もう行っちゃおう」というような若干のやっつけ感があったような気もしないでもないですが

私にとっては天の恵みのような一声。

 

渾身の力でいきんで一息。まだ出てこない。

 

そして

 

「次で行きまああああああああああす!!!」

 

という謎の宣言とともに

 

ゆめこが

 

飛び出て

 

そこからはスローモーションのように

 

ゆめこのか細い泣き声や、助産師さんの声、涙ぐむばあば、こみ上げる嬉しさ、ばあばの切るシャッター音、「あ、おにぎり食べる?」というばあばの声などが交錯して

気づけば胸の上に置かれていた小さなゆめこを抱きしめて泣いていました。

 

実質、3時間ちょっとの安産。

でも、蓋を開ければドラマがいっぱい詰まった壮絶な3時間。

 

2017年7月30日の午後10時、こうして我が家にゆめこがやってきました。

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