最近増えてきた、いろんな体験ができる乗り物。
京都に有名料亭のごはんを食べながら歴史まで楽しめる贅沢な列車があると聞きつけて、
京都丹後鉄道の福知山駅へ向かった。
人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ……!
うららかな天気が続き、絶好の旅行日和。
そんな中、旅行気分に浸かりたい人々を手招くのが
このところ注目を浴びる体験型移動の乗り物だ。
移動するのに加えて、自然を眺める、地域を学ぶ、ランチを食べる……。
忙しい現代人の時間を一分も無駄にさせない贅沢な交通手段と言っても過言ではない。
わたしはそんな豪華列車の中でも京都丹後鉄道が贈る、
『歴史を味わえる電車の旅』丹後くろまつ号「ランチコース~雅~」に乗車してみた。
朝11:16 京都・福知山駅に到着。
JRから、「京都丹後鉄道」に乗り換えた。
乗ったことがない路線というのは、なんだか胸が躍る。
一車両のコンパクトな列車。
シックな黒いボディには松モチーフのロゴが並ぶ。
車窓から見える景色っていうのは、何故こういくつになってもワクワクするんだろう……。
席へ着けばランチが準備されていた。
特徴的なのは、器に大きく入った文様。
これは、「寄り九曜」と呼ばれる細川家の家紋だ。
この『細川御膳』と呼ばれるランチコースは、細川ガラシャがテーマ。
彼女が昔食べていたとされる料理が有名料亭「ふみや」によって
現代風にアレンジされ今世に蘇る……!
細川ガラシャは、明智光秀の娘として生まれ丹後田辺城に嫁ぎ、
父が織田信長を暗殺した後は丹後の山奥に幽閉された。
この丹後くろまつ号が走る福知山~天橋立は、彼女にとって縁ある場所なのだ。
乗務員さんのご挨拶を皮切りに、列車は外の世界と切り離されたクローズドな空間になった。
目の前にある器の蓋を開ければ、そこには
見た目も美しいお料理が……!!
ここが交通機関の中であるということを忘れてしまいそうな、
丹後のお野菜やお魚をふんだんに使い丁寧に調理されたお食事。
菜の花や空豆、桜といった季節ならではの食材も多く
外の景色と併せて春を喜びたくなる。
米どころ・丹波ならではの日本酒も車内で販売しているため、
一杯味わいながら…なんて楽しみ方も可能だ。
料亭が贈る絶品のお料理。
車内に流れる優しい音楽。
心地よい揺れ。流れる景色。
一秒一秒が贅沢……!!
なんといっても、全国各地の大手百貨店のイベントで毎度行列を作るほどの人気商品という「焼き鯖寿司」の威力。
脂の乗った香ばしい鯖が、口の中でとろける。
は~~。
幸せすぎて、危うく列車の中で暮らしたいという気持ちが芽生えるところだった。
1時間半の時を経て、列車は天橋立に到着。
車内では穏やかに時間が流れるため、もっと長いこと楽しんでいたような気持ちだった。
他にも、丹後くろまつ号には
カジュアルホテルランチを楽しめる「ランチコース~楽~」や、
車内で丹後にまつわる読み物を楽しめる「ライブラリーコース」も。
丹後あかまつ号や丹後あおまつ号といったもっと気軽に楽しめる観光列車もある。
丹後あおまつ号なら通常の乗車料金(210円~)で観光列車が楽しめるというから、
なんともお得に非日常気分が味わえるコースだ。
わたしは天橋立から西舞鶴へと向かう電車へ乗り換え。
観光列車ではなかったので、普段使いする乗客も多い。
しかし「この路線から見える景色が特別キレイらしい」という噂を聞き、乗らずにはいられなかった。
窓にへばりついて外を眺めていると、現れたのは海!
青い海、透き通る砂浜、山。
ここでしか見られない絶景をここぞとばかりに眺めまわした。
のどかさが爆発する線路。
どこからどこへ行く、という交通手段としてだけではなく、
さらに「乗り心地」「景色」「車内でのサービス」まで求められる豪華列車。
「歴史」という要素まで加わって、
味覚、聴覚、視覚、五感で楽しめる旅へと進化している。
移動時間は「我慢の時間」じゃない。
一粒で何度もおいしい魅力がそこにあった。
京都丹後鉄道 丹後くろまつ号
「ランチコース~雅~」
10,800円(運賃含む) 11:16 福知山駅発 ⇒ 12:46 天橋立駅着
「ランチコース~楽~」
7,500円(運賃含む) 12:58 天橋立駅発 ⇒ 14:56 豊岡駅着
「ライブラリーコース」運賃+1,000円
予約・お問い合わせは、http://trains.willer.co.jp/matsu/