年末に急増!?ひとり暮らしお年寄り狙う「おびき出し窃盗」
年末に向けて新手の窃盗事件が、大阪で起こっている。親切を装ったこんな事件があった。
東大阪市内に住むAさん(82)はひとり暮らし。ある日「おばちゃん、家の前の溝におカネ落ちてたで」と声をかけ、玄関のドアをたたく男が。ドアを開けると温厚そうな中年男性が小銭を手に、届けてくれたらしい。「まだ溝の奥にあるかも知れへんから、棒か何か持ってきて」という男の言葉に促されるまま、家の奥へ棒を探しに行った間に、男の姿と玄関の棚にあった財布がなくなっていた……。
連絡を受けた娘のBさんは、驚いてすぐに警察署に被害届を出したが「刑事さんから『それは、おびき出し窃盗やな』って言われました。小銭以外でも、洗濯物とか鍵とかが落ちていたと言ってくるケースもあるそうです」(Bさん)
担当した刑事によれば、犯人はまず、玄関先に置かれた手押し車や宅配弁当の箱などをチェックして、そこが高齢者のみの住居であることを確認するという。そして、ドアを開けさせようとさまざまな言い訳をして、高齢者を玄関先からおびき出すのだそうだ。
Aさんはふだん、玄関先に財布を置いておくことはない。「犯人がくる少し前に集金の人が来たようで、それを見て母を狙ったのかと」(Bさん)
今回の事件について、大阪在住のジャーナリスト・大谷昭宏氏に話を聞いた。
「窃盗だけど、詐欺的な要素が含まれていますね。あまり耳にしないですが、似たような手口は今後、あちこちで出てくると思います。たとえば、角に立っている家の場合『車をぶつけてしまった』と言って家の人をおびき出すとか」
大谷氏は、ひとり暮らしの高齢者は「見知らぬ人が訪ねてきても、出ていかないほうがいい」と忠告する。年末に向かうこの時期、留置場や刑務所で年を越したいため、窃盗などを行う再犯者が増えてくるというのだ。
「『飯食い』って僕らは呼んでます。悪いことをする奴らも必死ですから、あの手この手でやってくる。今回の場合、親切を装って人の警戒心がいちばん緩んでいるところを突いてきた。人の親切を疑ってかかるのも寂しい話ですが……」(大谷氏)