年金支給額の引き下げ、介護保険料と後期高齢者医療制度の保険料のアップ、公共料金の値上げと、安倍政権下で負担増のラッシュが続いている。まるで“高齢者いじめ”ともいえる状況をどうサバイバルするか? 経済ジャーナリストの荻原博子さんに語ってもらった(以下・荻原さん)。
「高齢者が持つ金融資産は、日本全体の約6割といわれます(総務省・’12年)。政府は、高齢者にお金を使ってもらい経済を活性化したいと考えてきました。とはいえ年金は減り、物価は上がり支出は増える状況で、高齢者がお金を使うでしょうか?『先々が不安だから離さない』でしょう。
介護制度も追い打ちをかけます。厚生労働省は’15年度より、特養(特別養護老人ホーム)に入所できるのは要介護3以上とする方針を打ち出しています。都市部では慢性的な施設不足で、いざというとき入所できる安心感もありません。高齢者は不安感が強く、お金を使えないのです。
政府が介護制度を手厚くするなど、高齢者にやさしい「太陽」政策をとると、高齢者も安心してお金を使えますが、現状は真逆。年金や消費税、介護制度も「北風」政策ばかりで、高齢者は財布の口を閉ざすしかありません。日本経済は今後、ますます冷えていくのではと危惧します。
日本は、65歳以上が総人口に占める割合、高齢化率が昨年10月で24.1%。WHOによると、高齢化率21%以上の「超高齢化社会」です。現状の年金制度が「100年安泰」などありえません。
穏やかな老後のためには、自分の身は自分で守る覚悟が必要でしょう。そのための資金作りは早いうちから計画的に。株価も不安定ですから、リスクを避け貯金しましょう。
安部首相の言うとおり、今年の春は景気回復を自分の給料で実感できるのか。今後の生活に関わることなので、アベノミクスの結果をそれぞれ採点してみてください」