「小渕大臣の資金管理団体の政治資金収支報告書ではベビー用品や化粧品などを購入した領収書が添付されていました。これらは政治資金を不正に使用するための偽装工作です」と明かすのは、国会議員の元秘書だ。乱脈経理が発覚し、責任を取る形で大臣を辞任した小渕優子経済産業相(40)。前出の元秘書は、政治資金の実態をこう暴露した。

 

「たとえば議員本人や秘書が、選挙区の町内会の会合に出席し会費を払ったとします。こうした会合での出費は領収書も貰いづらい。さらに、会費を払うことは有権者への寄付にもつながりかねない法的にはグレーゾーン。ナーバスな問題なので、支払先や金額を公表したくありません。こうした他人に知られたくない支出を書類上で穴埋めするために、実際に政治資金からは支払いをしていない“偽の領収書”を使って、品代や事務所費などの名目で計上するのです。報告書では収支の帳尻があっていれば、多少の不正はバレにくいのです。永田町では、このような手口は良く知られています」

 

小渕大臣の場合について、元秘書はこう続ける。

 

「今回、問題になった小渕大臣の報告書は、隠したい支出の穴埋めのために“偽の領収書”だらけだったのではないでしょうか。経験不足の秘書が、政治活動に関係のないベビー用品などの領収書を集めて、無理やり帳尻を合わせたんだろうなというのが見え見えです。大きな問題となっている後援者たちを招いた観劇会の収入を少なく計上した件も、大臣は秘書任せで何も知らなかったはずです。父親である故・小渕恵三元首相時代のベテラン秘書たちが次々に辞めていってしまったため、政治資金の管理が緩くなったのでしょうね」

 

日本大学名誉教授で弁護士の板倉宏さんは、小渕大臣が罪に問われる可能性を指摘する。

 

「まず、もしも有権者に観劇や食事を安く提供していた場合には、買収を禁じた公職選挙法に抵触する可能性があります。また、後援会からの収入を政治資金収支報告書に少なく記載していた場合には、政治資金規正法に触れる恐れがあり、どちらにしても法律違反となります。立件された場合、100万円以下の罰金刑は免れないのではないでしょうか」

 

公職選挙法や政治資金規正法の違反で、罰金刑が決まると、失職。大臣どころか議員も辞めなければならない。大臣辞任だけで済まされてよい問題ではないはずだ。

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