「前回の選挙で自民党はあまりにも議席を伸ばしすぎました。その反動で総選挙では議席を減らすでしょうが、過半数は維持するでしょう」と話すのは政治評論家の浅川博忠さん。

 

安倍首相は、15年10月に予定していた消費税の8%から10%の増税を見送ることを決めた。その決断に伴い衆議院を解散し、総選挙突入へ。前出の浅川さんと、政治評論家の有馬晴海さんが各党の議席数を予測すると、自民党が微減し民主党が議席を伸ばすという数字がはじき出された。安倍内閣の解散・総選挙で、私たちの暮らしはどうなるのか。専門家たちに取材し、緊急シミュレーションした。アベノミクスで進む円安について、経済評論家の荒川雄一さんは、こう話す。

 

「アメリカが来年にも金利を上げることも予想されます。相対的にドルが買われるので、さらに円安が進み1ドル=120円から130円くらいになるのではないでしょうか」

 

消費税の再増税は避けられたが、円安が進行することで起きる値上げについて、経済アナリストの森永卓郎さんはこう指摘する。

 

「例えば現在、300円前後の牛丼の値段が、500円と言わないまでも400円くらいに上がることは十分考えられます。この秋までの円安でも、即席めんやコーヒー、アイスクリームなどの原材料を輸入に頼る食品の、来年に向けての値上げが発表されています。選挙後も安倍政権の元で円安が進めば乳製品や食肉、加工食品などは総値上げの嵐がやってくるでしょうね。あと、日本はエネルギー関連の輸入が全体の3分の1を占めています。電気やガス料金、航空運賃などの価格が上昇することは必至です」

 

増税を行わなかったことで起こるマイナス面もある。消費税の増税分は、本来その全額が年金や医療、子育て支援などの社会福祉に使われるもの。増税を見送ったことでその財源は当然不足する。社会福祉で大きなウエイトを占める年金への影響も大きい。

 

「ただでさえ、将来的にシステム自体が不安視されている年金も、これまでの水準が維持できるのかという不安感が一層強くなりました。年金の支払い期間の短縮、支給額の大幅カットなど、国の社会保障の政策が、根底からくつがえされる事態に陥るかもしれません」(前出・荒川さん)

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