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「私が街宣で演説しているときに歌を歌うと、子どもたちが集まってきて、『うまい〜、すごい〜!』って、尊敬のまなざしで言うんです(笑)。『街宣車になんでも書いていいよ』と言うと、“パティシエになりたい”なんて将来の夢を書き込んだり。こういうのを見ていると、子どもたちの未来にツケを回す政治を変えたいと、強く思うんです」

 

こう話すのは、国民的ダンス&ボーカルグループEXILEの『SUMMER TIME LOVE』など、楽曲を提供している作曲家の真白リョウさん(40)。10月22日投開票の衆議院選挙で、神奈川11区(横須賀市・三浦市)から出馬予定の希望の党新人候補者だ。

 

そんな真白さんが目指すのは、「普通に働いていれば、子どもに教育を受けさせることができ、老後の心配なく生きられた“一億総中流社会”のころの日本」だという。

 

「私が音大に行けたのは、親が経済成長の恩恵を受けていた時代だから。でも、いまや貯金のない世帯は3世帯に1世帯、子どもの貧困は6人に1人。しかも、安倍政権になってから“格差”は開くばかり。非正規雇用は増え続け、40%近くなっています。なのに安倍首相は、弱者置き去りで“日本を取り戻す”とか聞こえのいいことばかり。けど、安倍首相が取り戻したいのは、基本的人権や表現の自由が奪われ、個人が国家のために命を捧げなくてはならなかった明治憲法時代の日本です。最初の自民党改憲草案を読めば明らかだし、平成の治安維持法と呼ばれる共謀罪も強行採決してしまいました」(真白さん・以下同)

 

真白さんに転機が訪れたのは、’14年。真白さんのブログを読んだ森ゆうこ参議院議員の支援者からの勧めで、小沢一郎政治塾へ入塾したことになったのだ。2年間、政治塾でみっちり学んだ真白さんに、小沢一郎氏から声がかかる。

 

「’16年7月の参議院選挙前でした。小沢さんから、『真白くん、立候補しないか?』と。でも、すぐに断りました。当時はまだ、音楽や執筆などを通じて言いたいことを伝える、メッセンジャーになろうと思っていましたから」

 

ところが、’16年10月、再び真白さんに白羽の矢が立つ。「次の衆議院選挙の候補者に」と、再び小沢氏から出馬要請があったのだ。

 

「『君は、世の中をよくするために、さまざまな発信をしているけれど、みずから選挙に出ることが、いちばんの発信になるんじゃないか』と小沢さんから言われたんです。安倍首相は、表現の自由を脅かしかねない“特定秘密保護法”も強行採決したし、このままだと大好きな歌も自由に歌えなくなるかも。そう考えたら、政治家になって変えるしかないと思いました」

 

出馬を決めた真白さんは、当時、始動したばかりだったバンドのメンバーから音楽活動の休止と、出馬への理解を得た。’16年の末には、地元の大阪府寝屋川市の実家に戻り、政治活動をスタートさせる。そんな真白さんが、この10カ月間、選挙区を回って衝撃を受けたのは、想像以上に“格差”が広がっているということだった。

 

「とくに大阪は、生活保護の受給率が高く、貧困世帯が多い。地元の寝屋川市でも、老朽化した文化住宅があちこちにあって、子育て中のご夫婦も住んでおられます。非正規雇用者が多く、夫婦共働きでも生活が苦しいのです」

 

安倍首相は、“女性が輝く社会”を標榜するが、「女性が働かざるをえない状況に追い込まれているだけ」というのが、真白さんの実感だ。

 

「アベノミクスで私たちの生活がよくなった実感はないですよね。にもかかわらず安倍首相は、貧困な人ほど負担が重くなる消費税を10%に上げようとしています。そんなことをする前に、利益が大幅に出ている企業や、富裕高齢層への累進税率を抜本的に見直し、金融所得の課税も強化して福祉や教育費に充てるべきです。首相は、とってつけたように、消費税増税分を子どもの教育費に回すと言いだしましたが、’12年の衆議院選のときも、“TPP反対”と言っていたのに、選挙に勝ったとたん覆しました。国民を平気で裏切る政治家に、これ以上任せていられません」

 

野党再編が進み、一寸先は闇の政局。だが、真白さんは、「将来に不安を抱えている弱者の声を、政治に反映できるまで、あきらめない」と言う。

 

「とにかく、真面目にコツコツ働いている人が、老後の不安なく生きられる社会にしたいんです」

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