「先日、秘書の方から、安倍首相の国会答弁どおりに昭恵さんが『すべての名誉職を辞めることになった』と連絡をいただきました。ついては、ウチの名誉会長職も辞退したいと。残念ですが、受け入れました」
そう本誌に明かしたのは、チャリティ団体『iPSコミュニティー』の鳥越孝理事長。チャリティーゴルフなどを主催して、iPS細胞関連の研究に寄付をおこなっている同団体の名誉会長に就いていたのが安倍昭恵・首相夫人(55)だった。
これまで報じられているとおり、森友学園問題の発端は“愛国教育”を目玉とする同学園に昭恵夫人が肩入れをしていたことに始まる。17年4月開校予定だった新小学校の「名誉校長」に就任していたのが、ほかならぬ昭恵夫人だった。
だが、昭恵夫人が“名誉職”に就いていたのは森友学園だけではない。本誌が調べた限りでも、29もの団体で昭恵夫人は名誉職に就いていた。今回、本誌ではすべての団体に連絡をとろうと試みた。もちろんそのほとんどはしっかりした活動を続けている団体だが、中には連絡先もよくわからない団体も――。
「こういうタイミングで昭恵さんの話は……」(ある社会福祉法人の担当者)
連絡がついても、多くの団体がこう言って取材を拒否した。そのなかで前出の「iPSチャリティー」鳥越孝理事長は「いいことも悪いことも公平に報道されれば」と、正面から取材に答えてくれた。
「昭恵さんは、とにかく人の役に立ちたいという想いでやっている人です。私たちのチャリティーにも実費を払って、ときには1人で来てくれていました。人を疑わず、どんな人とも親しくなれるタイプ。それだけに、下心のある人とか邪な人につけこまれる隙もあったと思います。周りで厳しいことを言う人がいればよかったのかもしれません。良家に育った昭恵さんには、そういう免疫はなかったのでしょう」
政治部記者も、こう話す。
「昭恵さんは首相夫人として“権力”を持っているのに、本人が無頓着すぎるのです。07年に第一次安倍政権を投げ出して退陣した安倍首相は、バッシングに苦しむなか、“彼女の無邪気さに救われた”とつねづね言っています。ある種、罪深いまでの“ピュアさ”を夫人の美点と思っているんです」
ジャーナリストの江川紹子さんは、安倍夫妻にこんな“アドバイス”を送る。
「私、昭恵さんがダメな人とは言うつもりないんですよ。だって友達にしたら、すごくいい人だと思いますよ。彼女からすれば、自分でいいと思うことを一生懸命やっているだけでしょう。首相夫人としての影響力さえ使わなければ、どんな活動でも一生懸命にやっていいですよね。権力さえ伴わなければいいんです。だから彼女自身にそういう自覚がないんだったら、安倍首相が『うちの妻が何か言ってきても気にしないでください』と周囲にひとこと言っておけばいい。夫の安倍さんや周りの人たちが気をつけてあげればよかったんです」
もしかしたら、いまも彼女は本気でこう思っているのかもしれない。
「晋三さんはなんでこんなに焦っているのかしら――」