「白鵬は場所前に自ら出向いて稀勢の里と稽古した。優勝に向けて本腰を入れてきますよ。新横綱・稀勢の里は初の土俵入りもあり大変なので、前半の取りこぼしが心配。土俵入りって、本割の一番に加えて、もう一番相撲を取るくらいの負担だと言われていますからね。集中力を欠いて緊張しすぎると取りこぼしもあるかもしれないけど、終盤の横綱同士の対戦では実力伯仲の取組が見られるはずです。稀勢の里と日馬富士、鶴竜の対戦も楽しみですよ」
こう語るのは、追っかけ歴30年の相撲リポーター・横野レイコさん(54)。稀勢の里の横綱昇進や業師・宇良の幕内デビューなど、若貴フィーバー並みの盛り上がりで注目必至の大相撲三月場所。このブームに乗り遅れないよう、横野さんと芸能界屈指の好角家であるお笑いコンビ・ナイツの塙宣之さん(38)に、注目ポイントを指南していただきました!
■1年前の主役・琴奨菊の奮起
横野「昨年10年ぶりの日本人力士優勝を果たしてあれほど相撲界を沸かせた琴奨菊ですが、カド番だった先場所の負け越しで今場所は関脇として挑むことに。大関復帰を果たすには10勝以上が必要ですが、4横綱に加えて三役もとても強い。琴奨菊の大関復帰はいばらの道になりそうです」
塙「琴奨菊って、横綱・稀勢の里には強いんですよね。先場所も稀勢の里が唯一負けたのが琴奨菊だった。通算の対戦成績でも、琴奨菊のほうが稀勢の里を上回っています」
横野「琴奨菊は『1勝14敗でもいいから稀勢の里にだけは負けたくない』とライバル心むき出しでしたが、稀勢の里は『それじゃ、負け越す。僕は対戦相手の1人としか見ていません』と以前から温度差がある。その違いが対戦成績にも影響しているのでは」
■宇良が魅せるワザ&身体能力
塙「宇良関が幕内に入りましたね。高安も、やりづらさから『組みたくない相手』と言っていました。大きい力士からすると、小兵力士は怖い存在のようですね」
横野「“居反り”や“足取り”などアクロバティックな技で注目されていますが、宇良関は身体能力の高さがすごい。体重もこの1年で130キロ台に増やした。2年で幕内は朝青龍と同じスピード出世なのに、浮かれることなく、取材のオファーも断っているというストイックさ。彼の相撲が幕内でどこまで通用するか楽しみです」
■宝富士を応援したくなるワケ
塙「見方は変わるんですが、僕は宝富士も好きで。絶対に強い素質はあるのに、常に正攻法でやっていて、不器用な感じ。なぜか腰が浮いちゃって寄り切られて、素人が見ていても何でかなあ、と思うけれど、応援したくなっちゃう」
横野「不器用さは稀勢の里に似ていますね。世の中、不器用だけど真面目にコツコツやる人を応援したくなっちゃうもので」
塙「力はあるのにな、というもどかしさ。自分を重ねちゃうんです。漫才をやっているときは割と評価されるのに、テレビのバラエティ番組でひな壇に上がると、器用にしゃべれなくなっちゃうので(笑)」
横野「宝富士は、ほかの部屋なら横綱扱いされてもいいくらいの実力はあるけれど、彼が所属する伊勢ヶ濱部屋は横綱・日馬富士、大関・照ノ富士がいて、ベテランの安美錦もいる。幕内上位の関取なのに、幕下みたいな扱いなんですよね。毎日中継を見ているだけでも、ルックス、所作や相撲のスタイルから、塙さんがおっしゃるような『なぜか気になる力士』を見つけるものおもしろいですね」