東京湾に近い多摩川の河口で、ここ数年シジミが大量発生しているという。休日ともなると、他県からも大勢の人が潮干狩りにやって来るほどの人気スポットだとか。そこでさっそく女性記者が調査に行ってきました。
6月5日、快晴。場所は、京浜急行「大鳥居駅」より徒歩約15分のポイント。この日の干潮時間は朝の8~10時。8時30分~9時30分の1時間で、はたして何個のシジミをゲットできるか? 干潟の中央でシジミ取りスタート。手始めに軽く泥砂を熊手でかいてみると、あっという間に10個以上のシジミをゲット。まるで入れ食い状態!
「週に2~3回ぐらいは来てるよ。この場所では、3~5センチクラスの“大物”も採れる。大物はだいたい、10センチ以上掘ったところにいるね。浅い部分でシジミが見つかれば、だいたいその周辺にもいる可能性が高い。人間の家族と同じで、1個いるところに何個も集まってるもんなんだよ」
と話してくれたのは、近くでシジミを採っていた地元のおじさん。その籠には、すでにあふれんばかりのシジミが……。おじさんは3年前からこの場所でシジミ採りをしているベテラン。大量に採れるようになったのは、ここ数年だという。なぜ多摩川の河口で、こんなにシジミが大量発生したのだろうか?
「多摩川の水質浄化がいちばんの要因だと思います」と語るのは、河川などの水質・環境問題に詳しい、東京農工大名誉教授で日野市環境情報センター長の、小倉紀雄さん。
「’90年代ごろから下水道整備が整い、多摩川の水質が改善されました。それによってシジミが生息する河口沿岸の環境がよくなっていったことが大きい。シジミが泥砂に潜って餌を取れるような環境が自然に整備され、干潟が増えたことも要因でしょう」
9時30分、1時間が終了。採れたシジミの合計は284個。初心者のわりには、かなり多く採れたのでは? さて、このご時世、気になるのが放射線の量。念のためにガイガーカウンターをシジミに近づけ、空間放射線量を測ったところ、0.07マイクロシーベルト/毎時を記録。国が除染を行う方針としているのは1マイクロシーベルト/毎時なので、とりあえずは安全です。
さっそく、採れたシジミのうち、大型のものだけを20個、その日の夜に酒蒸しにしてみた。身は太って味も濃いが、いかんせん泥臭い。おろしたしょうがを入れて、なんとかおいしく食べることができた。「シジミは3日以上泥抜きしたほうがいい」という人もいるくらいなので、半日の泥抜きでは短かった?