日本の夏は、祭りの季節。なかでも圧巻なのが日本三大夏祭りだ。そこで、30年間にわたり日本・世界の祭りを撮影してきた祭り写真家の芳賀日向(はがひなた)さんに、その見どころと観戦ポイントを教えてもらった。
青森県青森市《青森ねぶた祭》
ねぶたの起源は、夏の厄を人形に乗せて川に払い流す七夕祭りの「灯籠流し」とも言われている。針金の骨組みに和紙を張り、鮮やかな色を施した巨大燈籠人形「ねぶた」が登場したのは明治の初めごろ。開催は8月2〜7日。
「現在のねぶたは、勇壮な武者絵が夏の夜に浮かび上がり、元気なハネトが飛び回り短い東北の夏を楽しむ祭りです。座敷席がありますが、レンタルで衣装を借りてねぶたの運行に自由に参加して、一緒に踊りながら行くと臨場感たっぷりです」
京都府京都市《祇園祭》
起源は869年。自然災害や疫病の蔓延に悩まされた人々が「祇園御霊会」を開いて厄神怨霊(やくじんおんりょう)を鎮めたのが始まり。祭りのクライマックスである「山鉾巡行」が京都市中を巡るさまはまさに圧巻。開催は7月1〜31日。
「『山鉾』を見るなら、御池通の観覧席が定番です。観覧席が取れなければ堀川通と烏丸通の間の細い道を通る山鉾、また新町通蛸薬師付近もいいですね。また、(7月)17日の18時ごろに八坂神社から出る『神輿渡御(みこしどきょ)』も見どころのひとつ。八坂神社正面の石段下から、神輿の差上げを見ることができます。立ち見になりますが、1時間ほど前に来れば見られるでしょう」
福岡県博多市《博多祇園山笠》
毎年7月1日から15日にかけて開催される760余年の伝説を誇るお祭り。疫病除去のため施餓鬼棚(せがきだな)にのって祈祷水(甘露水)をまいたのが始まり。櫛田神社にまつられる素盞鳴尊(すさのおのみこと)に対して奉納される祇園祭のひとつ。
「最大の見どころである『追い山』は、午前4時59分、1トン近い重さの一番山笠を皮切りに、8基の山笠が大勢の男衆に担がれ櫛田神社を出発するタイムレース。座敷席が取れなかったら、櫛田神社前の道に約3時間前から場所を取り、神社からスタートする一番山笠を見ましょう」