日本マクドナルドに中国産チキン全面販売中止を決定させた、上海福喜食品の使用期限切れ鶏肉使用事件。この問題について、『日本人を脅かす中国毒食品』(宝島社刊)を上梓したばかりのジャーナリスト・椎名玲さんはこう語る。

 

「中国では昨年、46年前の67年に消費期限の切れた鶏のもも肉が、化学薬品を使用して、“新鮮な肉”に偽装されていたというニュースがありました。『お金になればいい』『自分が食べるものじゃないからいい』ということで、中国人の食の安全に関するモラルのひどさは、日本人には理解できないと思います。いくら衛生管理のためのシステムやマニュアルがあっても、実際に工場で働く中国人従業員にモラルがなければ、どうしようもありません。上海福喜もそうでしたが、査察のときだけごまかすことも日常茶飯事なのです」

 

また『中国食品工場の秘密』の著書もあるジャーナリストの青沼陽一郎さんが言う。

 

「以前、私が取材した日本向けの食品を製造している中国の工場は衛生管理も徹底していました。ですから、“すべての中国食品が危険”というのも短絡的すぎると思います。しかし上海福喜食品のケースでは、いちばんの問題はモラルの低下というより、“モラルがなかった”ことなのは、はっきりしています。“食品を扱っている”という認識を持っていない中国人従業員がいるはずです。ハンバーガーやチキンナゲットは、中国の食文化にありませんでしたし、扱いが雑になりやすかったのかもしれません」

 

実は中国では、冷凍食品に対する評価はかなり低いようだ。現在、中国で生活している日本人ビジネスマンは次のように明かす。

 

「度重なる食品汚染問題で、中国製の食品をいちばん信用していないのが中国人なのです。彼らは安全な食材を買い求めるときは、市場に行って肉でも魚でも野菜でも、その目や鼻で一つ一つじっくり調べてから初めて購入します。そこでも、“変なものをつかまされないように”と慎重ですよ。チキンナゲットは冷凍されて日本に運ばれていたわけですが、中国では“冷凍された食品”は非常に価値が低いのです。肉でも新鮮なものと冷凍ものでは、10倍ほども値段が違います」

 

中国食材を輸入している日本企業も、今回の事件を契機に食の安全をもう一度見つめなおしてほしい。

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