「自分の子供には、テクノロジー機器を使う時間を制限している」
iPhoneの生みの親で、’11年に死去したスティーブ・ジョブズは生前、そう発言していたとの記事が、9月にアメリカで紹介された。開発者自身も懸念していたスマホの危険性とは? ITジャーナリストの三上洋さんによれば「ひとつは個人情報の漏えい。もうひとつは依存症の問題です」とのこと。
個人情報の漏えいでもっとも身近なのは、電話帳の流出。スマホではアプリを介し電話帳のデータが、どんどん利用されてしまうのだ。
「LINEやfacebook上で、何年も音信不通の元カレや親戚の名前が『知り合いかも?』と表示されること、ありませんか?これはスマホが、電話帳に入っている番号を頼りに、同じ番号を登録しているSNS利用者を勝手に探し出しているのです」(三上さん)
さらに、アプリを悪用した悪質な手口もある。4月、広島県で40代の男性が、元交際相手のスマホに遠隔操作アプリを入れ、日常生活を監視していたとして逮捕された。スマホはさまざまな機能を持っているため、持ち主の生活に関するあらゆる情報が入っている。流出した場合の被害は計り知れない。
「もうひとつの問題、とくに子どもの間で深刻なのが、LINEなどのSNS依存。リアルタイムでつながれるため、際限なくスマホに向き合ってしまうのです。ただしこれには、いじめの被害者にとってSNSが逃げ道や相談相手になっているという、よい側面もあります」
三上さんは、スマホを取り上げるのではなく、時間を決めて使うことを提案する。
「愛知県刈谷市では、市内の全小中学校を対象に、夜9時以降のスマホ禁止を打ち出しました。止まらないやりとりを断る口実としては、割といいルールなのでは?」
ただし、子どもだけ禁止して、親が夢中では意味がない。親子で「スマホレス」の時間を作ってみるのもいいだろう。