「夫の離職や離婚などにより年金資格が変わった専業主婦で、変更手続きを忘れた方を対象に、厚生労働省は、年金保険料の追納受付けを始めました。通常は過去2年分しか納められませんが、今年4月からの3年間に限り、10年分さかのぼって追納できます」
こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。会社員や公務員の夫(あるいは妻)に扶養される専業主婦(あるいは主夫)は、第3号被保険者として、年金保険料を納めなくても将来の年金が受け取れる。
「ですが、夫のリストラや離婚、妻自身の収入アップなどで、年金資格が第1号被保険者に変わった場合は、年金保険料の納付が必要になります。この変更忘れが、約50万〜60万人いるとみられています」
現在、国民年金保険料は月約1万5千円。まとめて追納するのは簡単ではない。しかし、このままでは、無年金になる恐れのある人もいる。どんな手続きがあるのか。
「まず、年金の未納期間がある方には、案内が郵送されます。これを受け取った方のうち、未納分の一部でも払える方は、追納しましょう。たとえば、1年分約180万円を追納すると、受け取れる年金が今の基準で年約1万9千円増えます。次に、過去分まで払えないという方は、年金資格変更の手続きをしましょう。国民年金は、年金保険料を納めた受給資格期間が25年以上ないと、将来、受け取れません」
さらに、今の年金保険料の納付も厳しい人は、年金免除の申請ができる。自営業などもともと第1号被保険者が生活苦に陥った場合も、この免除制度が使えるという。これは前年の収入によって決まるので、近くの年金事務所でご相談を。
「また、専業主婦でなくても、年金の未納がある方は、今年9月までなら10年間さかのぼって納めることができます。実は、受給資格期間が現行の25年ではなく、10年あれば年金を受け取れるという法案が国会を通過しています。ただし、実施時期は消費税が10%に上がったとき。安部総理が言うとおり、’17年4月に消費税が上がれば、年金を受け取れる方が大幅に増えるかもしれません」
届いた案内や年金定期便などをよく見て、疑問があれば「ねんきんダイヤル」などに問い合わせをしよう。