「全国の地域ごとに、個人の不用品情報が掲載されているんです。収納家具、キッチン用品から家電までなんでも載っていて、無料で譲ってくれるものも少なくありません。ここで全部そろっちゃうじゃない!って(笑)。最初は電子レンジから始まって、デスク、イス、カーテン、時計……と、我が家の家電とインテリアは、ほぼジモティーで譲っていただいたものです」
そう話すのは、神奈川県川崎市に住む垣内紗恵子さん(37)。アロマテラピストである垣内さんは、美容の仕事を求め、’13年12月単身上京し、ひとまず友人宅に居候。持ち物は、必要最低限の衣類を詰めたスーツケース1つに所持金5万円だけ。
その後、仕事とアパートはすぐに決まったが、お金もなく、家財道具は一切なかった。そこで見つけたインターネットサービスが、無料の広告掲示板「ジモティー」だった。ネットオークションなど、ほかの不用品売買サイトとの違いは、無料の譲渡品が多く出品されていること。そして、その品物の受け渡しのほとんどが、手渡しで行われていることだ。
「ジモティーはシンプルなんです。手渡しでの取引なので、取引成立後に発送手配をする煩わしさもない。実際に品物を見て受け取れるので、安心感もあります。地元の方同士で連絡を取り合って、その日のうちにすぐ品物が手に入ることもありますよ」(ジモティー広報・宮本亮さん)
そのわかりやすさが受けて、ネットのサービスにしては珍しく、シニア世代の利用者も多いのだとか。
「これまでに、別荘が無料で譲渡されたこともあります。淡路島の山中にある別荘でしたが、持ち主の方がもう利用されないとのことで、出品されたんです。結局、神奈川県にお住まいの方が引き取ることに。ほかに、土地、船などが無料譲渡されたこともありました」(宮本さん)
こういったケースはさすがに珍しいが、掲示板には毎月約4千点の品々が無料で出品されているそう。ただし、無料のものは、すぐにもらい手がついてしまうことが多く、早ければ出品当日になくなってしまう。そこで、今やジモティーエキスパート!?の垣内さんに、目当てのモノを手に入れるコツを聞いてみた。
「欲しいモノを見つけたら、出品者に問い合わせをするのが最初のステップ。ポイントはその内容です。できるだけ、出品者とのやりとりが一度で済むように書きましょう。実際の大きさはどうか、キズがあるならどの程度か−−。引き取る前に気になることはあると思いますが、『欲しいです!』という意思表示をしたうえで、状態についての質問を。引取日時の候補もいくつか挙げておくといいですよ」
何度もメッセージをやりとりするより、一度で済ませられたほうが、お互いにラク。出品者も、そういう相手のほうが返事をしやすい。なお、会うまでのやりとりはすべてジモティー上で行われるので、相手にメールアドレスや電話番号を伝える必要はない。
前出の広報・宮本さんによると、引っ越しの多い春はとくに出品が増える季節。冷蔵庫、洗濯機、テーブルなどがそろった“一人暮らしセット”が出品されることもあるとか。あなたの欲しいモノも、もしかしたらご近所さんが出品しているかも!