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教育の分野で人工知能の技術を使ったサービスやソフトが、続々と開発されている。東京都世田谷区の学習塾Qubena(キュビナ)アカデミーでは、人工知能技術を用いた数学のタブレット教材が、人間の講師の代わりを務めている。

 

「以前は、普通の塾のように集団で授業をしていました。しかし、効率的とはいえませんでした。一般に50分の授業のうち、本当に意味のある時間は5分だけといわれています。ほかの時間は、すでに知っている内容の話だったり、逆に理解できない内容の話だったりするからです。そのため子供たちにとっては、能力のある先生による個別指導がいちばんいいのですが、そういう先生は大勢いませんし、費用もかかります。それに近いことができるよう開発した教材が『Qubena』です」(Qubenaアカデミーを運営する株式会社COMPASSのCEO・神野元基さん)

 

Qubenaは、その名も「世界初の人工知能型教材」。生徒は自分専用のタブレットを使い、それぞれが問題に取り組んでいく。間違った解答をした場合は、どこでつまずいたのか、その原因を克服できるよう、基本に立ち返った問題が出題される。

 

「ムダな時間をなくすことができるため、一般的な授業と比べて、7倍の効果があるという結果が出ています」(神野さん)

 

神野さんによると、生徒たちは中学校3年分の数学の内容を、わずか96時間で終わらせてしまうのだという。タブレットで勉強するなら、塾に通わなくてもいいのでは?という疑問もわいてくるが……。

 

「学習そのものは効率のよいタブレットに任せ、塾では数学を楽しみながら勉強できる環境作りに力を注いでいます。子供たちがいかにストレスなく勉強を習慣化できるかがポイント。学習塾として、勉強するための時間や場所を提供し、宿題の進み具合などを確認するために講師を置いています。週2回教室に来て勉強し、宿題も出すようにしています。講師は、宿題がどのタイミングでどのように進められているかを確認し、そこで最適なアドバイスを出すことができます」(神野さん)

 

同アカデミーの講師で、教材開発にも携わり、以前は個別指導塾で教えた経験もある木川俊哉さんは、次のように語る。

 

「個別指導でも、生徒がどこでつまずいたのかは、わかりにくいものです。どこがどうわからないのか、質問してくれるとよいのですが、なかなかそうもいきません。Qubenaでは問題が細かくレベル分けされているため、生徒たちはゆるやかな階段を上っていくように、テンポよく勉強を進めることができます。もし間違ってしまった場合でも、どこでミスがあったか、わかりやすくなっています。また講師としても、教える、教わるの関係ではないので、生徒との距離を近づけることができて、指導しやすくなりました」

 

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