最近、アニメやコミックのキャラクターをモチーフにしたタトゥーとの遭遇が多い。タトゥーを入れているのは学生やOL風の男女で、かつての刺青の“オラオラ系”のイメージとはほど遠いタイプだ。
「大好きなアニメキャラとずっと一緒にいたい」と願って肌にキャラのタトゥーを彫ることは「痛トゥー(いたとぅー)」として数年前からあったと聞くが、そのネーミングのとおり、自虐的な雰囲気をまとっていた。
しかし、ここにきて、マイルドなイメージの「ヲタトゥー」として新たに流行の兆しがあるという。
「ヲタトゥーを彫りたいという人は増えています。男女比は、だいたい6対4。男性なら理想の女性像としての“嫁キャラ”で、女性は『セーラームーン』など。男女問わずサンリオやジブリは定番で、『ドラゴンボール』やアメコミも人気。外国人の方も多いですね」
こう話すのは、横浜市西区にある「FANATIC TATTOO」日ノ出町店の女性彫師・恵華さん(28)。「ヲタトゥー」を彫りにくるお客さんに共通するのは、絶対に譲れないという“こだわり”だそう。下絵持参の人は当たり前で、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のヲタトゥーでは、こんな細かい注文があったという。
「依頼主は40代男性。アスカを彫ったんですが、描くアニメーターによって顔が違うんですよね。まず、その指定から。続いて表情は『新劇場版の「Q」に出てくる眼帯付きアスカ風に』と実に細かい。まあ、そのほうが私も燃えますけど(笑)」
女性の間では、パッと見ではわからない“隠し彫り”も人気急上昇。「実は、私も」と恵華さんが耳にかかった髪の毛をかき上げると、左の耳裏に1.5センチほどの動物キャラのヲタトゥーが。恵華さんは、最近のタトゥーの傾向についてこう語る。
「ヲタトゥーではありませんが、40代で子育てが一段落し、『前から興味があったんです』と子供の名前を彫るママさんも。先日は60代の女性がバラの花を彫りましたね」
はたから見ていると、あとで後悔しないかという不安が、常につきまとうが……。
「その人の人生の一部くらい好きなんだったら、後悔することも少ないんじゃないでしょうか。私自身もそうです」