「結婚すると女性は、(夫から)『奥さん』や『家内』なんて呼ばれていましたが、すでに結婚してもバリバリ働く時代。もう“外さん”ですよね。最近、若い世代は、『うちの妻』と言う人が増えているんですよ。実態も意識も変化しているなら、結婚しやすい環境にするために、制度も変えていかないと」
そうマイク越しに語ったのは、鮮やかな紫のスカートスーツに、上品で重量感のあるゴールドのアクセサリーをプラスしたファッションで現れた小池百合子都知事(65)。
2月20日、東京都が主宰する「小池知事と語る東京フォーラム」が都庁の大会議場で行われた。テーマは、“結婚”。本誌は同イベントに潜入を決行した。
19時、会場には独身者を中心に200人を超える参加者が集まった。仕事帰りの若い女性会社員や、40代超とおぼしき男性も多い。舞台上には、小池都知事をはじめ、MCを務める関根勤さん、お笑い芸人のクロちゃん、「婚活」という新語を生んだ社会学者の山田昌弘先生、そして大手婚活総合会社IBJ代表取締役の石坂茂さんらがコメンテーターとして登壇した。
冒頭、小池都知事は力強く、女性の“後押し”を宣言。
「女性がキャリアを積み、同時に家庭を持って、安心して子育てをしたいと願うのは当然。それをかなえられる社会にしなければ」
イベント内では、18歳から34歳に未婚男女に行った、内閣府の調査が発表された。「いずれ結婚するつもり」と回答した男性は85.7%、女性は89.3%と、ほとんどの人が結婚を意識しているとのこと。にもかかわらず、交際相手がいない人の割合は男性が69.8%、女性59.1%と、結婚願望との間にギャップが生じていることがわかった。
結婚していない理由として最も多く挙げられたのが「適当な人に巡り合わないから」。次に目立ったのが、「男性の結婚後の生活資金が足りない」。出産と子育てに関する不安を、結婚を躊躇する原因として挙げた女性も多いようだ。これらの調査結果に、会場からもざわめきが……。
売れるかどうかで、激しい収入差が生まれる芸人の世界に生きてきた関根さんはこう語る。
「若手芸人にも収入が足りないと感じて、結婚に踏み切れない人は多い。婚期を逃したり、結婚のために夢を諦めて安定した仕事を求めたりする人もいますね……」
リアルな意見に小池都知事も神妙にうなずく。
「これまで、一生安心して暮らせると思っていた有名企業が突然潰れてしまったり、不況に陥ったりする。正規社員・非正規社員と、勤め方が広がったことも、企業に(労働力の)不安定さを呼んでいるのかもしれません」
結婚しやすい社会を築くためには、制度も変えていく必要があると小池都知事は続ける。
「税制ひとつとっても、女性には控除がある。フルタイムで働くと家計がマイナスになるから、“このへんにしておくか”となるんです。103万円の壁、130万円の壁が生じている。この制度は、昭和の時代と大きく変わった実態と合っていませんね」
独身女性が多くいる会場は、「わかる、わかる」といった声が聞こえるようだった。