「現在、パート時給は全国平均で1,052円(労働市場データ)と、1年前と比べて40円も上がっています。パートの有効求人倍率も、バブル期と同じ基準の1.81倍に。希望する職場に転職できる可能性は高いですね」
こう語るのは、これまで2万人の働く女性をサポートしてきた、キャリアカウンセラーの水野順子さん。そこで、水野さんに転職のタイミングとその準備について教えてもらった。
「まずすべきは、“転職すべきかどうか”の見極め。いくらチャンスといっても、転職すべき人と、現状維持が望ましい人がいます。最初の判断基準は『心身の状態』。新たなことに挑戦したい好奇心があり、環境の変化に対応できる体力があると自覚している人は、転職を考えてみましょう。そして、職場の人間関係でストレスを抱え、心身のSOSを感じている人も、“避難”としての転職のタイミングといえます」(水野さん・以下同)
あなたが転職のタイミングにあるなら、新しいパート探しの準備をしよう。
【1】「希望5項目」を書き出す
「まずあなたが、どんな仕事を、どんなふうに、どんな人と働き、いくら欲しいか? 時給、人間関係(同僚・上司)、仕事内容、勤務地、勤務時間の5項目を書き出しましょう」
【2】「希望5項目」の優先順位を決める
「『希望を全部かなえたい』という気持ちは理解できますが、それは現実的ではありません。そこで、絶対譲れないものを上から2つ決め、その条件に沿った転職先を探します。3〜5位は、『かなったらラッキー』ぐらいに、考えておきましょう」
この優先順位がぐらついていると、転職後、「前のほうがよかった」と後悔することにつながるという。
「半年前と今でも、雇用状況は違います。ネットやフリーペーパーなど、多くの求人を見て条件をしっかり調べることが大切です」
最近、求人が増えているのが、民泊関連、観光サービス業だ。販売業も求人が多く、宅配便の配送をする女性も急増している。いっぽう、事務の仕事は減少しているという。
【3】いざ面接。雇用条件をしっかり確認!
「ひととおりめどを立てたら面接を受けることになりますが、落ちることを心配する必要はありません。面接はあくまで、長く働けるように、条件を確認する機会だと心得ましょう。こちらの希望を明確にしておくと、新しい職場で働き始めたときに、未知の不安を乗り越える気力になります。働き始めてから、半年ほどかけて、希望の3〜5位の条件を1つずつ整えていく。そのように長いスパンで考えておくのが、失敗しない転職につながります」
希望の職場や条件はきっとあるはず。この春、現状に不満を持っているなら、切りひらいてみてはどうだろう。