本誌では原発事故当時、福島県内に居住していた子供の保護者を対象に、福島県の現状を住民がどうとらえているのかを知るべく「原発事故から5年目アンケート調査」を実施した。
特に印象的だったのは、「あなたにとって復興とは?」の問いに対する答えだ。回答者の約9割が、汚染・被曝・健康被害などをなかったことにして、“復興”をアピールする国や県の姿勢に批判的だった。
〈原発事故が完全に収束し、子どもでも安全に安心して暮らせる環境に戻ってはじめて真の復興と言える〉
〈子供たちの健康被害を真剣に考え、デタラメやごまかしを止めること。風評被害ではなく、実害があることを認めなければならない。今行われているのは復興ではなく、不幸である〉
〈子供たちを守ることが第一! 命や健康なくして、復興もへったくれもない〉
〈放射能があること、汚染されていることを県も国も認め、福島県に住むか否かの選択が保証され、健康調査や保養が確実に保障されるようになれば〉
オリンピックや復興事業に対する憤りの声もあった。
〈オリンピックなど招致している時ではない。残っている子供たちや若い世代を、そして今も避難している人たちへの選択の自由、避難支援をしてほしい〉
〈形だけの復興は目先の復興。子どもたちを犠牲にしてまでも金、経済が大事? 〉
私たち大人の責任を問う声も。
〈原発事故で、どのような問題が起こるのかということを世界に向けて正直に誠意をもって発信していく責務がある。それを果たすことでしか福島の復興はない〉
〈福島の子供たちの健康を守るために大人がもっと行動することが当たり前の雰囲気になる、県民みんなが心の声を当たり前に吐き出せるようになったときが復興〉
〈原発事故は福島県民だけの問題じゃない、全国の人も考えて。自分の町はどうなるのか? 本当に安全なのか? をもう一度考えてほしい〉
さらに、こんな回答も。
〈元の福島には戻れません。永久にです。人の心がバラバラになってしまったことの重大性を誰もが感じている。建物が建て替えられても、除染して多少線量が下がったとしても元には絶対に戻らない。それが放射能の影響です。その事を受け入れたうえで、「復興」ではなく、「新しい福島を作る」ということだと思います〉
真の“復興”とは、耳触りの良い言葉で、目の前にある汚染や、起こりつつある健康被害、そして人々の心の傷までも覆い隠すことではないはずだ。アンケートにはこんな悲痛な声がつづられていた。
〈この事故によって無残に壊れてしまった家族の時間、家族ひとり一人のあるはずだった失われた時間は決して戻らない。子供の失った希望、その失った分を補うことができたと子供自身が納得できたと感じられるときがきたなら、個人的には復興と言えるかもしれません〉
調査結果:あなたにとって福島の復興とはなんですか?どうなったら復興したと思いますか?
1、放射能汚染の被害は津波などの天災と比較できるものではなく、時間を掛ければ元に戻るようなことではありません。放射能汚染から復興することは、本当に出来るのでしょうか?「復興」という表現自体、間違っている気がします。
2、良くわかりません。放射能汚染の痕跡が無くなった時でしょうか。物理的にも人の心にも。福島ではなく個人的には、自分や家族の復興は死ぬまで復興したかどうかわからないままだと思います。この事故によって無残に壊れてしまった家族の時間、家族の一人一人のあるはずだった失われた時間、それは決して戻らない。子どもの失った希望、今後その失った分を補うことができたと子供自身が納得できるときが来たなら個人的には復興といえるかもしれません。もしかしたら福島の復興もそれと同じで、失ったものを補うほどの暮らしやすい生きやすい県になれば復興したと言えるのかもしれません。具体的には色々あると思いますが、一つ一つは皆さんそれぞれ価値感があると思うので私には申し上げられません。
3、事故前の景色になった時
4、復興はしません。除染もしないで、簡単に復興 という字を使い何もしない政府と、薄れる記憶と共に世代交代して何もなかった事になっていく未来があるだけです。絆とか復興とか忘れないとか。ウンザリです。
5、チェルノブイリ並みに立ち入り禁止区域を設定して、放射性物質の拡散を防ぐこと。ダメな場所は諦めるしか無い。
6、健康が保証され安心できた時。福島県人としての差別がなくなったとき。
7、こういう放射線直接の健康被害にしか興味がない東京のマスコミが消えて、関連死や精神的影響に対策を講じるようになった時が復興の始まりだと思う。なので、さっさと消えて下さい。お願いします。二次被害を拡大させるだけですので。
8、事故前の様な活気ある町になること。
9、問い7の回答はダミーです。必須回答に「特になし」の選択肢がないのはなぜでしょう?このような時期に、このような恣意的なアンケートが実施されなくなったとき、復興したと思います。売り上げ部数を増やすために福島をdisるのはいい加減にしてほしい。
10、原発地元は、遺憾ながら高線量のため切り離して考えざるを得なく、永久に失われた土地になるでしょう。完全な復興はあり得ません。第2のフクシマが出来ない事がせめてもの被害県人の願いだと思います。アンケートの実施をありがとうございました。
11、デマがなくなり、デマや不安を煽り立てる情報を流した全ての人が謝罪し責任を取ること。今も復興途中ですが、一つずつ商店や地域の人が増えたりしている時、少しずつ復興しているんだなとおもいます。
12、伊達市のCエリアは除染をしていません。震災前の線量に戻ったなら、復興したと思うかも知れません。でも、子供の甲状腺の事が心配です。生きているかぎり、被ばくしてしまったので、復興はなく一生抱える問題です。
13、本来の復興とは福を興す福興であってほしい。だが、今行われているのは福興でも復興でもなく、不幸である。子供たちの健康被害を真剣に考え、デタラメや誤魔化しを止めること。こんな当たり前のことが出来ていない。まず、風評被害ではなく、実害があることを認めなければならない。そして少なくとも、生活圏を放射線管理区域にあたる1平方メートルあたり4万ベクレル以下まで除染すること。そして食品の基準を事故前の基準まで戻すこと。子供たちの保養を真剣に考えること。福島県はIAEAとの協定を止め、このような事が二度と起こらないように脱原発を世界中に訴えるべきだ。ウクライナと協力して、過小評価されてきた被曝影響を世界中に明らかにすべきである。
14、原発事故が完全に収束し、子どもでも安全に安心して暮らせる環境に戻ってはじめて真の復興と言えると思う
15、原発事故の終息。
16、ざれごと。苦痛のもと。縛り付けるもの。間違いのもと。どうなったら??全然想像もできません。ろくな返答もせず、はぐらかしまくりの今の国の役人と、今の復興復興とかいう国の、世の中の流れだけは容認できない。それがなくなったら復興しようかと思うかもしれない。限りなく「かも」という仮定
17、本当に安心して子育てができ、暮らせることだと思います。
18、国会など、国の重要な部分が福島に来たら復興。それぐらいあり得ないこと
19、福島全部から放射性物質が全てなくなったら。
20、福島の水、食材が安心して購入できるようになれば。
21、国が原発事故を認め、人々が安全に暮らせる場所に移転させる。そして新たな福島県を別の場所に作る。そして、原発事故の収束に全力をあげる。
便利な世の中になると言うことは、危険や命すら奪われ兼ねないことを世の中にもっと広めて欲しい。原発事故は福島県民だけの問題じゃない、全国の人も考えて自分の町はどうなるのか?本当に安全なのか?をもう一度考えて欲しい。
22、除染で線量が下がるだけではなく、福島の子ども達の健康を守る為に大人がもっと行動することが当たり前の雰囲気になる、県民皆が心の声を当たり前に吐き出せるようになること。
23、放射能がなくなることはないから、基本的にはあり得ない。敢えて、どうしても…と言うなら、放射能があること、汚染されていることを、県も国も認め、福島県に住むか否かの選択が保証され、健康調査や保養が確実に保障されるようになれば。
24、復興という言葉はいらない。元には戻らない。戻れない。新たな道を築いていくしかないと思っています。
25、1.廃炉 2.差別や偏見のない国民の正しい福島の理解 3.復興特需に甘えない自立した県民
26、ありえない。それぞれが移住後の生活を不安なく営めるようになったら。
27、こどもが健やかに過ごせ、成長できる状態。復興、復興風、評被害のオンパレード。実害中です。せめて学校給食は地元産は控えてほしい。、
28、津波被害の方々は、自宅再建、以前の生活を取り戻すことだと思うが、放射能汚染によって、常に不安がつきまとう日々になり、それは今後何十年も続くことを考えると、気が遠くなる。汚されてしまった故郷で安心して以前の生活を送るには、少しでも放射性物質を取り除くことだと思うが、我が家の庭は、いまだに1マイクロシーベルトの汚染ポイントがあるにもかかわらず、行政は除染しない。1メートル上が0.23以下なら除染しなくてよいと国が言うからだそうだ。そうやって、あちこちの住宅内の土の上に放射性物質が残されたままになっている以上・・・ここでの生活に真の安心な生活は望めないと思っている。農水産物も今は苦しくてもいずれは元の売り上げ高に戻れると思う。けれども、本当の福島の復興は、やはり以前の澄んだ空気を取り戻し、豊かな自然と共生できるよう、汚染物を取り除くこと以外にないのではないだろうか。それに尽きると言いたい。
29、無理。県外に別な土地を求めて再建すべき。
30、子供の放射能の低い保養所へ定期的な疎開が可能になる事
31、本当の意味で、福島がきれいになってからだと思います。それは、除染ということではなくて。ありのままをみんなが認めることから始まると思います。そして、みんなで知恵を出し合い、どうしたら福島がきれいになるかを真面目に考えることが大事だと思います。自分だけが助かればよいという安易な考えでは、いつまでも復興はできないと思います。これから産まれてくる子孫たちのことを真剣に考えていかなければならないと思います。子どもたちが安心して外で遊べるようになり、地元の食べ物を安心して食べさせられるようになることが願いです。
32、放射能によりどのような被害がでるのかがはっきりして、それを踏まえて生活を立て直す方向になれれば復興に向けたい。
33、復興が第一ではなくて子どもたちを守ることが第一!命や健康なくして、復興もへったくれもない。最低でも、これ以上の臨界がとまり新たな放射性物質の発生が止みごく当たり前のことを不安なくできるようになってはじめて本当の復興がはじまるとおもいます。
34、福島の人々が(健康で文化的に)生き延びること。
35、元通りの生活環境やすべてが元のように安全であること。
36、元の福島には戻れません。永久にです。人の心がバラバラになってしまった事の重大性を誰もが感じています。建物が建て替えられても、除染して多少線量が下がったとしても元には絶対に戻らないのです。それが、放射能の影響です。その事を受け入れた上で、「復興」ではなく、「新しい福島を作る」ということだと思います。
37、わからない
38、福島の復興は難しい。オリンピックなど招致している時ではない。早く今でも残っている子供たちや若い世代の方を、そして今も避難しているひと達への、選択の自由、避難支援をやってほしい。
39、街が活気になったから、産業が回復したから、ではなく、放射能問題に真剣に取り組み、表面的に線量が下がったから大丈夫ではなく、ホットスポットもあり、甲状腺がんや疑いなど発病しているし、今ある問題をしっかり公に出して、国、県、自治体が長い年数かけてフォローしていく体制がみえるものが本当の復興だと思います。
40、放射能と正面から取り組むシステムの確立ができたとき。なんでもないようなふりをしたり、ごまかしをせず、危険なものをはっきり示し、子どもたちを守っていきたい
41、福島で頑張っている人はすごいと思うし、みんなそれぞれ考えて選択して行動していると思います。そのなかでも、子供達の未来や健康が最優先されていると思えるときがきたら、復興にむかっていると感じるのかもしれません。
42、福島の復興なんて夢物語。
みんなが納得、幸福を感じられる選択を選べること。
43、保養に理解をすること、子供に優しい環境になること
44、事故前の線量に戻り、健康被害もなく、環境の心配がなく暮らせた時だと思います。みせかけだけのアンダーコントロールではなく、原発もしっかりコントロール出来て放射線も放出しないように収束出来てこそ「復興」という言葉を使えるのだと思います。
45、日本の原発が全て停止して、国民が同じ意識で放射能の怖さを理解して放射能を閉じ込め除染がおわり、、、、。でも悲しすぎるけど我々の生きてるうちの復興はできないと思う。父や母のいる大好き福島は安心だけど安全ではない、土や水、空気の汚染された場所で命の営みは本当に悲しいけど不可能だと思います。
46、自分が子供の頃の福島に戻ったら。原発が完全にコントロールされ、一切放出がなくなる。食べ物の心配もなくなり、原発なんか忘れ去られたら。
47、福島のみんなが豊かに生きること。震災前に描いていたくらし、自然の恩恵を授かり自然の中での生活が不安なく出来ればとは思うけど、家族もバラバラなので私たち家族の復興はない。
48、難しいです。経済的な発展は復興とは言えませんが、住んでいる人たちが幸せな環境であれば復興したといえると思います。漠然とした不安、不健康ではない状態などは復興には程遠いのではないでしょうか。
49、除染と廃炉作業が終わること
50、無理
51、復興なんてあり得ない それが原発事故だ 理由は放射能を無くす事は出来ないから
52、医療や学校、福祉サービス、交通網、防災対策、商業施設が元以上になり、全ての土壌、海洋を含む水質から放射線物質が検出されず、全食品からも検出されず、被害者皆が納得した賠償を受けれて、生活再建ができた上で、避難者若者の9割が心から安心して戻ってこれたという結果があること。
53、食べて応援…そんな事をするから、避難をする私達は悪者になる。今の復興は、子供を守りたい親の気持ちと逆の事をしている。
54、頭の片隅にでも放射能の不安がなくなったとき。
55、復興は無理
56、復興とはただ人が戻るのが復興ではなくこれから出るであろうあらゆる事故後遺症がなくなったはじゃないでしょうか。
57、形だけの復興は目先の復興。子どもたちを犠牲にしてまでも金、経済が大事?狂ってるとしか思えません。子どもたちが健康で生きれる環境がなければ本当の復興はあり得ない。通常の災害は、そこから復興に向かって進みますが、原発事故の被害はそこから広がっていくことを考えると、これからが地獄になってくるだろう。予防原則に従って子どもたちを避難させない日本という国に失望してます。
58、目に見える物質的な復興なんて、あり得ない。元に戻る訳がないのだから。それぞれの心の物差しで、状況に納得出来た時が、その人の「その時」だと思います。
59、「できる事」と「できない事」と「我慢せざるを得ない事」がそれぞれ何かを、政府、東電、政府側科学者、市民科学者、被害者団体が示した上で、被害者全員が考え、話し合い、決めていくことができた時に、復興が始まるのだと思います。政府が、できもしない復興を掲げている間は、復興は始まらないと考えています。
60、それぞれの人が自分の居場所に納得した時。
61、放射性物質がなくなり、事故前の環境に戻った時
62、何も気にせずに安心して生活することができる環境に戻った時点で、やっと復興したと言えると思います。
63、元に戻ることは不可能でしょう。みんなの生活が落ち着き、前を見られるようになれたら良い。年代によって考え方は違うが、元を大切にしながら、新しいことにも慣れていかなくてはならない。故郷を大切にする気持ちはすべての人が持っている。
64、事故前と元通りになることです。
65、汚染区域で農業しない 最低10キロ圏は閉鎖する その圏内は除染しないゼネコン救済しない その他たくさん
66、放射性物質が福島全土(森林も川底も湖底も)からなくなったとき。
67、復興なんてありえない
68、県民が、国と原発の根本的な問題に目覚め、その根本に横たわる問題を告発できた時。汚染に関するきちんとした情報提供がなされ、全ての県民が正しく被曝回避できるようになった時。
69、私の復興とは、安全優先で情報を国民に隠さず、家族が一緒に生活出来る事。もう3.11以前の環境で生活する事は出来ないと理解している。せめて、子ども達の給食や運動する環境が国民が安全安心できる、そして情報隠し無く国民が分りやすい状況が出来た時だと思います。
70、福島は危険なんだよって皆が認識すること。福島県を立ち入り禁止にして、皆移住させたら
71、エネルギー政策や過去の県政市政の間違いを反省し、汚染された現実を受け止め、物や土地への執着はやめて、補償されるべきものは求め、その場しのぎでない真の復興を目指す。
72、政府や福島県、東電が非を認め、福島県のためき、復興対策に必死に取り組み、福島県に安心して暮らせるようになったときが復興になるのではないかと考えます。子供支援法とか名前だけの法律を決める前に、福島県民の声に耳を傾けるべき。福島県に、県民を帰還させることより、福島県で生活することが安全であるのか、根拠を示し、県民を安心させるべきではないかと思います。