パート収入130万円の壁崩壊で「働く主婦が二極化時代」

パート労働者に対する、厚生年金と健康保険の適用拡大が決定したのは8月のこと。これまでは年収130万円以上に、厚生年金、健康保険が必要だったが、201610月からは「週の所定労働時間が20時間以上」「賃金が月額88千円以上(年収1056千円)」に加入要件が拡大されることになる。主婦にとって「この法改正は打撃が大きい」と話すのは、社会保健労務士の山本礼子さんだ。

「年収120万円では、社会保険料と住民税、所得税は概算で年間約18万円(’12年度・東京都の場合)。実際の取り額は100万円程度ということになってしまいます。また、扶養の範囲内で働く妻には、夫の会社から『家族手当』として、1万円~15千円程度が支給されているケースがあります。扶養を外れてこれが打ち切りになると、もっと世帯の収入が減る計算になります」

これにより「働く主婦のスタイルが二極化に向かう」と山本さんは分析する。つまり、社会保険料を支払って目いっぱい働く「バリバリ」派と、収入が減ってでも、扶養の範囲内で働こうと自らの仕事を調整する「チマチマ」に分かれるかもしれないというのだ。

今回の法改正について、「今は、もっと働きたい人たちにとってチャンスの時期といえるでしょう」と指摘するのは、生活経済コンサルタントの北見久美子さん。高齢化で労働力人口が減少していることもあり、意欲のある優秀な人材であれば、主婦であってもどんどん登用、育成していくとしている企業も少なくないからだ。

「流通業やサービス業では、早くからパート労働者の待遇を引き上げ、正社員への道を開放するなど、区別をなくす仕組みを導入しています。もし、制度改正を機に『バリバリ』働きたい、という方は、自分がパートで働いている会社などでそれが可能か、調べて見ましょう」(北見さん)

 

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