消費税増税、オリンピック開催決定で値上がりが予測される住宅価格。「買うのは今」とばかりに住宅ローン金利が下がっている。本当に今が買い時?経済ジャーナリストの荻原博子さんに聞いてみた。
住宅ローンの金利は、都市銀行でほぼ1.5%強あたりに引き下げられた。ネット銀行では住信SBIネット銀行が1.25%、イオン銀行が1.35%など低金利が特徴だが、地方銀行でも京都銀行は1.1%、山陰合同銀行は1.3%など金利引き下げ競争が激化している(いずれも10年固定型、9月の再優遇金利)。
「銀行は、消費税増税に伴う住宅の駆け込み需要を狙っています。国債購入にリスクがある今、給与振込みがあり住宅ローンを組む安全な貸出し先を多く獲得するため、再優遇金利を低くして競争しているのです。すでに住宅ローンを抱える方は、低金利なら借り換えをと考えるかもしれませんが、大きなメリットのある方は少ないでしょう」(荻原さん・以下同)
ここ10年ほど低金利が続いており、10年以内の住宅ローン金利はそれほど高くない。かなり煩雑な抵当権の付け替えをして、40〜50万円の補償金・手数料を払ってでも余りあるメリットがあるとは考えにくいという。
「10年以上前にローンを組み元利均等返済方式で返済している方は、利息部分の返済が進み、残りは元本がほとんどという方もいるでしょう。その状況で借り換えると、利息が増えることもあります」
インターネットの借り換えシミュレーションを使えば、支払い総額が比較できるので参考に。それでは、本当に今が買い時なのだろうか?
「住宅購入を検討中の方は、焦って買う必要は全くないと思います。『9月末までに契約すれば、引き渡しが来年4月以降でも消費税は5%』の措置や『低金利の今が買い時』との宣伝文句のためか、特に首都圏のマンション販売は好調で価格も高騰しています」
不動産経済研究所のマンション市場動向(’13年7月度)によると、前年同月比で、首都圏での価格は12.2%上がっている。
「3%の増税をさけるため、12%高い物件を買うのはいかがなものでしょう。銀行や不動産業者は今月、最後の攻勢をかけてくるでしょう。住宅購入や住宅ローンの選択はそれらに惑わされず、慎重に、さまざまな角度から検討してください」