「全国の空き家は5年前から63万戸増え820万戸となり、増加の一途をたどっています。総住宅数に占める空き家率も13.5%と過去最高でした。昨年11月には、『空家対策特別措置法」が国会で成立。倒壊の恐れや、衛生上の有害性、景観の問題など、周辺環境を損なう空き家を『特定空家』としました。市町村レベルの自治体は立ち入り調査や勧告、命令などを行い、命令に従わない場合や持ち主不明の際は、取り壊しも可能となったのです」

 

こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。さらに、税制改正大綱も。これまで住宅用地の固定資産税は軽減されていたが、特定空家は除外されることになった。つまり、特定空家と指定されたら、固定資産税が6倍(200㎡を超える場合は3倍)になるのだ。親の死去や老人ホームなどへの入居で、実家が空き家という人、そうなる可能性の高い人は少なくないはず。実家を特定空家にしないためにはどうすればいいのか、荻原さんに教えてもらった。

 

「空き家がきれいな場合は、現状のまま保有することも可能ですが、管理が必要です。自宅と近ければ自分でできますが、遠方の場合は管理業者に依頼するなど、検討しましょう。空き家周辺の方とのコミュニケーションも大切です」

 

売れるものなら売りたい人も多いだろう。ただ、地域や土地の広さ、形などで売れにくいことも……。そんな場合は。

 

「貸すことを考えましょう。リフォームすれば、新築と見違えるほど美しくなります。貸したいが大きな初期投資はしたくない方には、『借主負担DIY型』という契約もあります。リフォーム前の物件を割安な家賃で提供し、借りる方が費用を負担すれば自由にリフォームできるものです。また自治体には、貸したい空き家を『空き家バンク』に登録し、借りたい方と結びつける制度もあります。空き家のある自治体にご相談を」

 

将来の日本の住宅事情を考えながら、荻原さんが思う空き家対策はこうだ。

 

「自治体は特定空家の指定を進め、空き家の減少を目指します。リフォームし中古物件や賃貸物件として市場に出回るものが増えるでしょう。新築も含め、住宅供給量が増加することになります。日本の世帯数は平成31年をピークに減少へ転じると予測されています。世帯数が減れば、住宅の需要も減ります」

 

また、20〜34歳の48.9%が、親と同居する未婚者だというデータもある。親夫婦と子供夫婦、小姑と呼ばれる独身のきょうだいが住む「2.5世帯住宅」が流行の兆しを見せており、必要な住宅の数は減るいっぽうなのだ。

 

「そうなると当然、住宅価格は下がるでしょう。数年後には、住宅の値下がり時代がくると私は思っています。とすると、空き家を持っている方は、早めに対策の検討をお勧めします。反対に、これから住宅を買う方は、焦る必要はありません。頭金を貯金しながら、今後の動向をじっくり見極めてはいかがでしょう」

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