「今回のマイナンバーは国家が国民の体に一方的に個人識別のためのマイクロチップを埋め込んだようなもの。番号は生涯不変で一生消すことができません。今後の成り行きがたいへん心配です」
こう話すのは、弁護士でマイナンバー制度にくわしい清水勉さん。日本に住民登録がある国民と在留外国人全員に割り振られた12ケタの「個人番号(マイナンバー)」。昨年10月から番号が明記された「通知カード」の送付が開始された。担当省庁である総務省では「昨年中にほぼ送付し終えた」と言う。あなたの手元には届いているだろうか?
『マイナンバー制度 番号管理から住民を守る』(自治体研究社)の著者・白石孝さんは次のように語る。
「直近で番号が必要になるのは、現在働いている人。今年1月から、事業者は従業員の番号を収集し、税務署に提出することが義務づけられました。この番号は’16年の年度末調整の際から税務署が使用することになっています。すでに準備ができた事業者では従業員に対して番号の提出を求める作業が始まっています」
マイナンバー制度で避けたいのは、個人情報が詰まった番号の流出だ。番号が明記された「通知カード」は持ち歩くだけでリスクがある。そこで白石さんが「個人」を守るために「やってはいけない5つの心得」を教えてくれた。
【心得1】通知カードを持ち歩かない
直近、まず番号が必要になるのは勤め先への通知。その際、通知カード現物を持参する場合にいちばん注意することは置き忘れや紛失だ。
「マイナンバーは生涯不変が原則。一度、個人の情報が漏れたら取り返しがつきません。取り扱いには最大限の注意が必要。財布などに入れておくと、クレジットカードの出し入れの際などにいっしょに落としやすい」
【心得2】通知カードをコンビニなどでコピーしない
勤め先にコピーを提出するとき、コンビニなどでコピーすることは避けたい。
「まずコピー時に現物を機械の中に忘れることがままあります。またデータがコピー機に残ることも心配。できれば自宅か勤め先ですることを勧めます」
【心得3】家族間でも番号はFAXやメールで送らない
遠方に住む子どもから「番号を教えて」と言われたときには手渡しが原則。
「それがむずかしければ簡易書留がベストです。誰がのぞき見するかわからないFAXやメールでの送付はしてはいけない」
【心得4】番号をメモ書きしない
メモ書きもFAXやメール同様、誰がのぞき見するかわからない。
「自分や家族の番号をいったんメモ書きしてから書き写す行為もうっかりメモ書きを放置しがちなので避けたほうが無難」
【心得5】ネット上の占いなどに番号を入力しない
もっとも注意すべきは、マイナンバー収集を目的とした詐欺だ。
「ネット上にはすでにマイナンバー占いと称して、番号を入力させるサイトが話題になっています。絶対に他人に電話やネットで、自分のマイナンバーを教えないようにしてください」