「これまでの超低金利からさらに下がって『銀行の利子なんてないに等しい』とお嘆きの声が聞こえてきそうですが、実は地方銀行や信用金庫などには、条件を満たせば金利を上乗せしてくれるお宝預金があります」
そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。日銀のマイナス金利導入の影響が広がっている。長期金利は史上初めてのマイナスを記録し、預金金利の引き下げも相次いでいる。だが、地方銀行や信用金庫は地域の住民から預金を集め、地域の住民に融資するため、マイナス金利導入といった日銀の政策と関係ないことが上乗せを可能にしているという。では、どんなものがあるのか?萩原さんが解説してくれた。
まずは、子育て中の人に、子どもの人数に応じた金利アップ預金。
「福島県のいわき信用組合には、子どもが3人以上いる方向けに店頭金利に1%上乗せする『子育て支援応援団』があります。定期預金と積立預金のどちらでも上乗せできるので使い勝手もいいでしょう。ほかにも沖縄県のコザ信用金庫や、静岡県の磐田信用金庫、三重県の北伊勢上野信用金庫など、子育て応援をうたう金融機関は意外とたくさんあります」
次は、介護を担っている人向け。
「JA横浜などJAグループ神奈川には『JA介護貯金』があります。要介護3、4、5の認定や、認知症などの条件を満たす本人か、同居家族なら、金利が1%上乗せされます。福島県の会津信用金庫の『介護支援定期預金きずな』は要支援、要介護の認定を受けた方か同居家族なら0.5%アップ。岡山県のおかやま信用金庫の『介護支援定期』も同じ条件で0.3%アップです。また、医療費を削減したい自治体がメタボ健診などの受診者を増やすため、金融機関と連携するケースもあります」
さらに、環境を守りたい人向けも。
「東京都や神奈川県を営業エリアとする城南信用金庫の『節電プレミアム預金』は、上乗せではありませんが、特別金利が1%です。ソーラーパネルの設置や蓄電池の購入など10万円以上の領収書を提示することが条件です。福井県の敦賀信用金庫は、敦賀市、美浜町、若狭町3市町全体の燃やせるゴミの削減量に応じて金利がアップする『エコ定期』があります。今年9月までの1年間のゴミの量が、前年より500トン以上減れば店頭金利に0.05%、1千トン減れば0.1%上乗せされます」
日銀のマイナス金利導入で、特に大手銀行は、厳しい局面を迎えている。また、円高を進め、株は1年4カ月ぶりに1万5千円を割り込んだ。
「しかし、地域に根付く地方銀行や信用金庫などは、地域の中小企業に融資する流れをつくっています。日銀の政策とは関係のないこの循環が、金利アップを可能にしているのです。お近くでも探してみてください」
今後の日銀や政府の対応に注目しながらも、お得な情報を集めて、家計を守っていこう!