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「政府が期待するように投資をする人が増えないためか、あの手この手の投資商品が登場します。なかには初心者向けのものもあります」

 

こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。「貯蓄から投資へ」といわれ始めたのは、’00年前半。それから15年ほどたったが、今も、投資は伸び悩んでいる。投資を敬遠する人たちも多いが、理由の1つは「元本割れがイヤだから」ではないだろうか。そんな中、初心者に向けた「元本防衛型」ともいえる新しい投資信託の販売受付けが開始。荻原さんが解説してくれた。

 

「三井住友銀行の『あんしんスイッチ』も初心者向けの1つです。今月3日から販売受付けが始まりました。大きな特徴は『プロテクトライン』を設けたことです。投資信託が元本保証ではないので、買った時点より値下がりすることもあります。そこであんしんスイッチは当初の基準価格(投資信託の値段)・1万円に対して、9,000円をプロテクトラインと設定しています。値下がりして9,000円を下回ったときは、即時売却されます。つまり、損が一定以上、膨らまないので、安心だというのです」

 

また、値上がり基準価格が1万600円になったら、プロテクトラインは1万円に。さらに1万1,111円以上になると、最高額を更新するたび、プロテクトラインは最高額の90%に上昇する。

 

「いったん上がったプロテクトラインは下がりません。ですから、基準価格がある程度、上昇すると『元本保証』状態になることもあるでしょう。そのため『元本防衛型』といわれることもあります。実際には、手数料がかかり、100万円を投資すると90万円になる可能性もあります。注意してください。プロテクトラインを導入した仕組みは、実は、むずかしいものではありません。投資する人が『損はいくらまで』『○円より下がったら売る』と自分で決めて、実行するのと同じだからです。とはいえ、人間は迷いが生じ、タイミングを逸することがありますが、先のあんしんスイッチは、コンピュータによる自動売却なのでプロテクトラインは必ず守られます」

 

しかし、自動売却がよくないケースも。

 

「たとえば1万円で買った投資信託が値上がりして、1万5,000円になったとします。プロテクトラインは、その90%、1万3,500円まで上昇します。その後、値下がりし1万3,000円になったら、プロテクトラインを下回ったということで、自動的に売却されます。でも、元々は1万円で買った投資信託です。まだ3,000円の儲けがありますから、売らずに様子見を続けたほうが得だと考える方も多いのではないでしょうか。こういった投資信託は、値動きをチェックする暇もないほど忙しく、大きく損はしたくない方には向いているかもしれません。ですが、根本的には、誰でもできる防衛策を、システム化しただけです」

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