我が家にはテレビがありません。
3.11以降、テレビの情報が信じられなくなって、昨年の引越しの際についにさようなら。
それでも、鹿児島県の川内原発の再稼働の動きについての情報は、耳に届いてきます。
原子力規制委員会は、重大事故に備えた体制や運転管理ルールなどを定めた保安規定を、「防災上、不十分とは認められない(つまり、防災上十分ということ)」として認可。
おととし施行された新しい規制基準の下では、初めて再稼働に必要な許認可がそろったことに。
九州電力は、1号機について8月中旬の再稼働を目指すとか…
川内原発がある南九州には、過去に巨大噴火を起こした火山がいくつもあります。
熊本の阿蘇山や鹿児島の桜島では、活発な火山活動が続いていることは有名です。
そして、5月29日午前に、鹿児島県の離島である口永良部島が噴火しました。
口永良部島は、屋久島のすぐ隣に位置する離島。
4月に『女性自身』の紙面で、屋久島の電力自給事情をリポートした記事を掲載していただきました。
あの取材は3月だったのですが、海岸線を車で走っているときに、口永良部島が見えました。
写真には口永良部島は映っていませんが、このような綺麗な海に小さな島がぽっかり浮かんでいて、その姿はなんだかとても長閑。
まさか噴火することができるほど大きなエネルギーを持っていたとは思いもしませんでした。
わたしは、小学生のときにテレビで見た、放射性廃棄物の地層処分の必要性を訴えているCMが忘れられません。
現在NUMO(原子力発電環境整備機構)が主張している内容の原型でして、それは廃棄物処分地域を求める内容でした。
実際見たものとは少し異なるのですが、このようなイメージです。
放射性廃棄物を地中深くに埋めているアニメーションの映像で、そのときに母と交わした会話を覚えています。
チカ 「ホウシャセイハイキブツってなあに?」
母 「説明するのが難しいわね。とても危険なものだと思えばいいわ」
チカ 「それを埋めるの?」
母 「危険だから、地中に埋めるのよ」
チカ 「地中に埋めたら危険じゃなくなるの?富士山が噴火しちゃったらどうするの?飛び散っちゃうよ?」
20年くらい前の記憶なので、富士山噴火の疑問に母がどう答えたかはもう覚えていないのですが、幼な心にも得体の知れない恐怖を感じたことはしっかりと覚えています。
3.11の原発事故を通して、あのCMで言っていたホウシャセイハイキブツが原発と関連していることを知り、20年の時を経て点と点が線で結ばれました。
たった20年でその疑問が現実問題として目の前に現れたことに、この時代を選んで生まれてきた自分の使命を感じずにはいられません。
活火山を持つ国であろうがなかろうが、原発は危険すぎるゆえ、つくってはいけないものだとわたしは思っています。
でも、原発自体に罪はないとも思っています。
問題なのは、それをつくり出してしまった人間の欲望であり、原発事故という大惨事が起きても学ばない人間の愚かさなのではないでしょうか。
ここで言う人間とは、利権が絡みおカネや自分の立場に固執している人たちのことです。
命よりもそういったものを優先する、そのような方々に伝えたいことがあります。
ここからは、彼らに対してわたしから伝えたいこととなりますが、どうぞ一緒にお付き合いいただき、読んでいただけたら嬉しく思います。
川内原発の再稼働を進めている方々へ
わたしからあなたがたに問いたいことがあります。
そして、伝えたいことがあります。
わたしは、これから未来を担う子どもを生み、育て、次世代に地球をバトンタッチさせる重要な役目と責任がある立場にあるからです。
だからこそ、何としてでもあなたがたの心に届けなければなりません。
どうか目を開いて、心を開いて、読んでください。
3.11の原発事故以降、放射能まみれとなったこの国。
汚染された空気を、どのように綺麗な状態に戻すのでしょうか?
汚染された地下水や海や河川の水を、どのように清らかな状態に戻すのでしょうか?
汚染された土を、どのように健康な状態に戻すのでしょうか?
戻し方が分からないのに、どんどん汚して壊していくのは、どうかもうやめてください。
あなたがたには分かりませんか?
いまの火山の活動が、原発再稼働が危険であることを知らせている警告だということが。
あなたがたには聞こえませんか?
この国がこの星が滅びないように、阿蘇山・桜島・口永良部島がいま必死に叫んでいる声が。
川内原発は止めたままにしておいてください。
止まっていてもなお危険なのです。
あなたがたの命のためにも、どうか原発に近づかず、そばから離れてください。
あなたがたは知っていますか?
子育て世代の女性たちがいま、ジレンマを抱えながら、生命と向き合っていることを。
放射能という危険なものが撒き散らされているこのような場所で、子どもを誕生させていいのだろうか?
その子を幸せにしてあげられないのではないだろうか?
生みたい、でも生んでいいのか分からない、この葛藤にどれだけ多くの女性が苦しんでいるか、どうか知ってください。
命を宿し、育み、生み出すことを喜びに生きるわたしたち女性が、新しい命の創造を希求できない、こんな悲しい時代が未だかつてあったでしょうか?
3.11以降、わたしたちは当たり前のことにやっときづきました。
大切な我が子に与えられる安全な空気や水や食べ物があれば、もうそれでいい。
それこそが幸せなのだと。
優先すべきものは、おカネではなく命なのだと。
これから、このようなきづきを得た人たちがどんどん増えていきます。
このような人たちは、あなたがたの命も大切に考え、あなたがたから脈々と受け継がれる子どもたち孫たちの命をも愛おしいと感じます。
わたしは、あなたがたと共に幸せに平和に暮らしていきたい。
どうかこの想いを受け取って、考え直してください。
川内原発を、このまま永遠に止めておいてください。
あなたがたの賢明な英断が、この国を復活させ、希望と歓喜で満たすことを信じています。