韓流ドラマのヒット作といえば、〝出生の秘密〟が明かされる愛憎劇や歴史大作が定番。そんな従来の印象を覆し人気となった『華麗なる遺産』の魅力を徹底解剖!
最高視聴率47・1%を叩き出し、今年上半期最大のヒットとなったSBSドラマ『華麗なる遺産』が、ついに日本上陸! 韓国専門チャンネル「KNTV」での放送開始(10月21日より毎週水・木午後10時10分~)を前に、「韓ナビ!」ではひと足早く、ドラマの魅力を徹底解剖。
関係者が明かす撮影秘話とともにお届けします!
「実を言うと、このドラマに関しては視聴率が20%を超えれば“大当たり”だと思っていたので、ここまでの大ヒットは予想もしていませんでした(笑)」
そう語るのは、人気ドラマ『オンエア』や『風の絵師』の演出も手がけた、プロデューサーのジン・ヒョクさん。
「これまでの韓国ドラマにありがちだった、『不倫』や『出生の秘密』といった要素を排除し、徹底してリアリティを追求したかった」
という同ドラマでヒロインの“コ・ウンソン”を演じるのは、『春のワルツ』で注目を集めたハン・ヒョジュ(22)。
彼女と運命的な出会いをする“ソヌ・ファン”役には、人気急上昇中の若手俳優、イ・スンギ(22)が抜擢された。
「スター級の俳優を起用せず、若手中心のキャスティングをしたのは、ストーリー自体に注目してもらいたかったからです。当初は、出演者の知名度が低く、周囲に心配されたこともありました(笑)」
物語は、2人の若い男女が留学先から呼び戻される場面からスタート。社長令嬢のウンソンは帰国後、父の会社が倒産したことを告げられる。
間もなく父は、「トラブルに巻き込まれ事故死した」とされ、やがて彼女は障害のある弟とともに、継母から家を追い出されてしまう。
一方のファンは、大手食品会社の御曹司ながら道楽がすぎ、社長の祖母から“三行半”を突きつけられる羽目に。
その後、極貧生活を送っていたウンソンは、ひょんなことからこの女社長と運命的な出会いを果たし、莫大な遺産を託されることになる―。
人々の心を濡らす〝夕立〟のようなドラマ
一見、韓国ドラマにありがちな“シンデレラ・ストーリー”のようにも思えるが、
「この作品は、基本的に“お金”と“家族”を土台とした人間の成長ドラマです。
お金のために崩壊した家族関係をいかに修復するか、またその状況を克服し、ふたたび家族がひとつになるために主人公たちがどう対処していくのかが最大の見どころです。いわゆる“勧善懲悪”ではなく、意地悪な継母の心情も理解していただけるよう工夫しました」(前出・ジンさん)
スピード感のあるストーリー展開と、きらりと光る若手俳優の演技の数々も、視聴者の支持を得た理由だという。
「若い俳優たちはとても魅力的な演技を見せてくれました。
特にイ・スンギは人一倍練習熱心で、彼の台本は雑巾のようにボロボロになっていましたね。スンギは、台本すべてを頭に詰め込んで撮影に臨むタイプで、時には相手のセリフまで口にしてしまい、NGを出すこともありました」
ドラマでは、傲慢な金持ちの御曹司を演じるスンギ。
物語が進むにつれ、純真なヒロインに心を惹かれるようになるが、そこで登場するのが、恋敵 “パク・ジュンセ”役のペ・スビン(32)だ。
ドラマ『朱蒙』でもお馴染みの彼が、撮影を振り返る。
「僕が演じたジュンセは、ヒロインを支える“足ながおじさん”のようなキャラクター。アニメの『キャンディ・キャンディ』でいうと“アンソニー”のような存在です(笑)。
これまでは『朱蒙』など史劇が中心でしたが、このドラマへの出演がきっかけで、街で女性ファンに声をかけられることも多くなりました」
同じ事務所に所属するイ・ビョンホン(39)を目標にしていると言う彼。
ドラマの撮影中は、ビョンホンから激励を受けることもたびたびあったそうだ。
「ビョンホン先輩は海外での撮影も多く、なかなか会う機会がないのですが、たまに事務所で顔を合わせると、『ドラマが調子いいと聞いているよ。よかったな!』とか、『お前もいい芝居をするようになったな!』と、必ず温かい声をかけてくれました」
そう笑顔で話す彼自身、『華麗なる遺産』のヒットは“想定外”だったそうだ。
「僕だけでなく、共演者もスタッフも(視聴率は)まったく期待していなかったのでは。
温かみのあるドラマだけど、視聴者が夢中になる要素はないと思っていたので、無難な評価を得て無事に終わればいいと思っていました(笑)。
しかし、心を無にしてシナリオに向き合うと、このドラマの面白さや魅力がよくわかってきました。過度なプレッシャーを受けず、自然体で演技できたことがプラスになったのだと思います」
回を重ねるごとに、ロケ現場に足を運ぶファンも増加。ソウル・仁寺洞での屋外ロケには、数千人のファンが殺到したという。
「ロケが始まった当初、現場にはドラマ撮影用のカメラしかありませんでしたが、徐々に取材が増え、視線をどこに合わせればいいかわからないほど、カメラが並んだこともありました。
通常、ドラマがクランクアップした後は関係者全員で“慰安旅行”に出かけますが、僕を含め、このドラマをきっかけに続々と仕事が入った出演者が多く、旅行が実現せずに残念でしたね(笑)」
と、嬉しい悲鳴を上げる。
巷では、ドラマでヒロインが乗る自転車が大ヒット商品となるなど、まさに“華麗なる遺産効果”とも言える社会現象を生んだこの作品。
最後に前出のジンさんに、ドラマの楽しみ方を聞いた。
「殺伐としたこの時代、『人々の心を濡らす“夕立”のようなドラマを作りたい』というのが我々の願いでした。
ドラマに登場する家族に、どっぷり感情移入してもらえると、いっそう面白く見ていただけると思います」
今からオンエアが楽しみ!