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道交法に基づき高齢ドライバーが受検する認知機能検査と医師の診断の結果、2017年の1年間で免許取り消しとなったケースが前年比約3倍の154人に上り、過去最多だったことが23日、県警への取材で分かった。免許更新時などの認知機能検査を強化した改正道交法が17年3月に施行されており、県警は「チェック強化が一定の効果を上げているのではないか」と分析している。

 

改正道交法は75歳以上のドライバーに対し、3年に1度の免許更新の際と、「信号無視」や「通行禁止違反」など18の違反行為をした際にそれぞれ認知機能検査を義務付けている。

 

県警運転教育課によると、17年の受検者数は1・3倍の10万3365人、このうち更新時は9万4972人で、ともに過去最多となった。法改正により新設された違反時の臨時認知機能検査は8393人だった。

 

検査は筆記式で記憶力と判断力を調べ、「認知症のおそれがある」(1分類)、「認知機能低下のおそれ」(2分類)、「おそれなし」(3分類)の三段階で判定。1分類と判定されると、従来は一定の違反をしなければ医師の診察は必要なかったが、改正道交法では医師の診断を受けるか、主治医の診断書の提出が必要になった。判定を踏まえ、17年に診断を受けたのは約5倍の749人。診断の結果、免許を取り消されたのは約3倍の154人だった。

 

高齢ドライバーによる事故は全国で相次ぐ。県内では16年10月、集団登校中の小学生の列に軽トラックが突っ込み、男児1人が死亡、7人が負傷する事故が発生。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで逮捕・送検され、嫌疑不十分で不起訴処分となった軽トラックの無職の男性(88)は精神鑑定でアルツハイマー型認知症と判明。事故前、約24時間にわたって車で徘徊(はいかい)していた。

 

高齢化社会の進行で高齢ドライバーは増加傾向にある。同課の担当者は「認知症の有無や進行の程度を適切に把握することで、事故抑止につなげたい」と話している。

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