「春ごろにそろそろ(『NEWS ZERO』卒業)という話が日テさんサイドからあったのですが、話し合いの上で全然トラブルもなく円満に決まりました」
本誌にこう明かすのは、9月いっぱいで報道番組『NEWS ZERO』(日本テレビ系)を卒業する、村尾信尚キャスター(62)。官僚出身の村尾氏は06年の放送開始以来12年間、『NEWS ZERO』のメーンキャスターとして同番組を支えてきた。そして今回の卒業発表を受け、6月中旬、自身が教授を務める関西学院大学の東京丸の内キャンパスで取材に応じてくれた。
「この12年間、『社会を変えたい!』という思いでずっと番組をやってきました。具体的には、若者の貧困やセクハラ問題に象徴されるような男女格差をなくしていきたい、公平な世の中にしたい、ということ。でも、何かを発信したくても、難しい話では聞いてもらえないし、ちゃんと伝わらない。櫻井翔さん(36)や桐谷美玲さん(28)ら若い世代だからこそ伝えられることもあるのだと、番組を通してさまざまなことを学びました」
こうした後ろ髪を引かれる思いもあるが、10月からは新しい人生をスタートさせる村尾氏。03年には三重県知事選に出馬した過去もあり、今後は“政界進出”も囁かれているがーー。
「選挙の準備などはしていませんが、『社会を変えたい』『日本をよくしたい』という思いは常に持っています。ただ、いまは特定の政党から特定の選挙に出るつもりはありません。これまでとはまったく違った方法で社会にアプローチしていきたい。官僚も経験したからこそ、社会の枠組みは理解していますが、そこをどうやって一般のみなさんの暮らしに落とし込んでいけるのか。そういったことをまだまだ模索している段階です」
そんな村尾氏の後任は、3月にNHKを退社したばかりの有働由美子アナ(49)に決定。インタビューの最後に、村尾氏は番組を引き継ぐ有働アナにこんなメッセージを託した。
「有働さんとは特に面識はないんですが、長年放送の世界に携わってきた方なので期待しています。仕事に必死で家庭をかえりみずにやってきた自分に比べてずっと好感度の高い有働さんには、より親しみやすい『NEWS ZERO』を作っていってほしいです(笑)。僕は『NEWS ZERO』から見れば去っていく夕日のような存在ですが、地球の裏側から見れば朝日に見えるわけですよね。番組は卒業しますが、これからもいろいろなことにポジティブに挑戦していきたいです!」
“ZEROからの再出発”で、また明るい日が差すはずだ。