昨年、ガソリン切れで困っていた女性に全所持金の20ドルをはたいてガソリンを買い与えたホームレス男性が話題となった。この男性はドラッグ依存症が原因で路上生活を余儀なくされていたジョニー・ボビットという元軍人。ボビットに助けられたケイト・マックルーはボーイフレンドのマーク・ダミーコと共に、彼の再起の資金としてクラウドファンディングサイトで寄付を募り、40万ドルという善意が寄せられた。この“美談”に、残念な後日談が加わってしまったようだ。
マックルーとダミーコが、集まった40万ドル(約4,460万円)を私的に使い込んだとして、ボビットが2人を訴えたというのだ。2人は寄付金の半分をボビットの家を買うために使い、残りは彼がドラッグ依存症を克服するまで預かっていると主張しているという。
NJ.comによると、訴状には「被告人は、ボビットのために集まった金額の半分以上を既に使い込み、この寄付金は今も不当に浪費され続けている」とある。ボビットの代理人を務める弁護士のクリストファー・C・ファロンはダミーコに対し、複数回に渡り寄付金の入った口座を譲渡するよう要求したが聞き入れられなかったため、訴訟に踏み切ったという。
「彼らはボビットの金を、余裕のなかった自分たちの暮らしを潤すために利用しようと企んだのです。被告は、ボビットの寄付金を自分たちの個人的な口座に入れ、ボビットが預金にアクセスできないようにしました」という原告側の主張に対し、マックルーとダミーコはこれを否定。寄付金を渡さないのは、あくまでもボビットがクスリを買うことを防ぐ策だとし、ボビット本人と寄付者の利益を守るためだと言い張っているという。
「ボビットは以前、2週間で2万5千ドルを使い切ったんです。全額渡したら、また同じことになる。そんなことになるくらいなら、彼のために金なんか燃やしてしまいますよ」とダミーコは地元紙Phillly.comの取材に語っている。また、ダミーコとマックルーは、ボビットから殺害予告ともとれる脅迫を受けているともコメントしている。