琉球ゴールデンキングスの応援を受けて手術を乗り越えた(右から)大城美紀さん、澄真君親子と、(左から)友人の冨里幸奈さんと娘の杏梨さん=南風原町津嘉山 画像を見る

 

ゴーゴー、トウマ! 8月初旬、初めての手術を控えた大城澄真(とうま)君(8)=南風原町、島尻特別支援学校小学部3年=の元に、琉球ゴールデンキングスから「頑張って」とビデオメッセージが届いた。澄真君は大のキングスファン。脳性まひで体が不自由だが、いつもテレビの前で左手を動かして応援している。2時間半の手術を乗り越えた澄真君は、試合会場でのキングスとの再会を胸にリハビリに励んでいる。

 

澄真君の朝は「バ」の一言から始まる。「バスケを見せて、と。キングスの試合を録画しているんです」と母の美紀さん(40)が笑う。ファンになったのは3年ほど前。以降毎年、沖縄市でのホームゲームを見に行っている。

 

澄真君は脳性まひで筋肉が緊張し、思うように体が動かない。1歳半から那覇市の南部療育医療センターに通い、リハビリを続けている。今回、体内にポンプを植え込む手術を受けることになった。ポンプに薬剤を注入し、緊張を和らげる。

 

手術直前の8月2日、キングスからビデオメッセージが届いた。岸本隆一選手と金城茂之選手が画面に現れ、「澄真君!」。続けて「早く良くなって、また会場で会いましょう。頑張ってください」と語り掛け、手を振った。澄真君は「にたっ」と笑い、動画を繰り返し見たという。

 

懸け橋になったのは、美紀さんの友人で、自身も長女の杏梨さん(8)に脳性まひがある冨里幸奈さん(32)=那覇市。「普段は弱音を吐かない美紀が、不安を口にしていた。親子を喜ばせたかった」。冨里さんはキングスに応援を依頼した。

 

手術は無事終わり、美紀さんは「頑張ったね」と息子を抱き締めた。病室では、一緒に届いた岸本選手と金城選手のサイン入りユニホームが見守ってくれた。「最高のプレゼントで勇気づけられた。友達の気持ちも、とてもうれしかった」と美紀さんは言う。

 

手術から1カ月が過ぎ、澄真君は筋肉の緊張が少し取れてきた。以前は「バーイ」だったのが、「バイバーイ」と言えるようになった。「体は楽になった?」と尋ねると、澄真君は「ハイッ」と笑顔で左手を挙げた。親子は、大好きなキングスとの「再会」を心待ちにしている。
(真崎裕史)

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