小泉今日子や中森明菜など“花の82年組”に対し、“アイドル不毛の年”といわれた83年組。でも、「今が最高!」と話す彼女たちは今年、桑田靖子(50)、松本明子(52)、森尾由美(52)、大沢逸美(52)、小林千絵(54)、木元ゆうこ(51)、徳丸純子(52)の7人で、ユニット「お神セブン」を結成。自虐を笑いに変えて輝く。そんなメンバーに話を聞いた。
■桑田靖子(50)/デビュー当時のキャッチフレーズは「これは、16歳の戒厳令だ」
「同郷の松田聖子さんに憧れて、同じ事務所に入りたい! と願っていたら、本当にかなってしまって」
13歳で上京した桑田さんは、中学卒業を待って『脱・プラトニック』で歌手デビュー。新人離れした歌唱力で、その年の音楽新人賞を総なめにした……まではよかったが、3年目以降は新曲のリリースがまばらに。活動の場はバラエティ番組がメインとなっていた。
「街で『靖子ちゃん』と声をかけていただいて、ありがたかったですね。でも、子どものころから歌うことが何より好きで上京したのに、という葛藤はずっとつきまとっていて--」
やはり夢があきらめきれないと、20歳のときに事務所を退所。翌年渡米し、ボイストレーニングに励んだ。’90年には本名の「咲恵子」や「Sea」名義で再出発し、アニメソングやコーラス業にも挑戦したが……。
「事務所の大きな傘を抜け出たばかりでしょ。とにかく独立独歩で、自分探しの日々でした。不安や焦りもあったし、ストレスなのかな、30代目前で声が出なくなってしまったんです。ライブもドタキャンしてしまったようなんですが、じつは、このときの記憶がなくて……」
そこから自信も目標も失い、歌うことを完全にあきらめた。
「十数年くらい? 地元の福岡に戻った時期もあるし、もう人前で歌うことはないと思っていました。それが、震災前から偶然の再会が重なって。今の事務所のボスに遭遇したり、『また歌いたいでしょ』と誘ってくれる人が現れたり。きっとまだ遅くない! と、ステージに上がることを決めたんです」
かつてのボーイッシュなショートカットから一転。女らしくなったね、と言われることも。
「恩師に復帰のご挨拶に行ったとき、ラフすぎる姿を指摘されたことから、今のスタイルになりました。よし! と思いたって、次に会うとき変身して行ったら“正解”をもらえたんですよ(笑)」
50代を迎えた今、生きるのは「ライブの世界」。自分のスタイルを確立し、思い切り歌えている。
「反応がそのまま伝わってくるのが幸せ。昔に戻りたいと思うことは一日もありません。回り道したぶん、今がいちばんいいし、未来に向けて歌うのが楽しみなんです」