台風で破損したとみられる岸壁=11月2日、本部港塩川地区 画像を見る

 

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の埋め立てに使う土砂搬出に関し、本部町が本部港塩川地区の岸壁の使用許可申請を受理しなかったことを巡り、岩屋毅防衛相は2日の会見で「(本部町は)沖縄県から新たな申請は受けないようにと指導されている」と述べた。これに対して県も町も取材に「指導はなかった」と否定しており、防衛相が事実誤認で発言していたことが明らかになった。

 

一方、岸壁が使用できない理由となっている台風による破損箇所は年内の修復が難しい見通しで、辺野古埋め立ての関連工事を再開した政府の日程に影響を与える可能性がある。

 

9月下旬の台風24号で6カ所の岸壁のうち3カ所が破損して以降、本部町は新規の船の受け入れを中止。町は県との協議の結果、改めて新規の受け入れを行わない方針を1日までに決定した。埋め立てに使用する土砂を搬出する業者から1日夕方に岸壁の使用申請が出されたが、町は方針通り不受理とした。

 

県港湾課によると、港の使用許可を出す権限は県から町に移譲されており、「指導する立場になく、指導権限もない」(同課)。ただ県は管理者ではあるため、町と協議し「港湾の状態を保つため、壊れた部分の使用は控えてほしい」と伝えていた。

 

本部町も取材に対し「県政の方針を受けて申請を不受理としたわけではない」と答え、ほかの申請と同じ対応を取っただけと説明している。

 

県は防衛相に「指導」と曲解されたことについて、「(辺野古移設に反対する)知事の政治姿勢に絡めて勘違いされたようだが、そもそも県が言うまでもなく、物理的にどの船でも無理だ」と困惑を隠さない。県政与党の県議は「県が辺野古移設を妨害していると、防衛相が印象操作をしている」と防衛相の姿勢を非難した。

 

また、岩屋防衛相は会見で「防衛省としては引き続き本部町と調整を進め、速やかな使用許可を得たい」と語り、他の港ではなく本部港塩川地区から土砂搬出について理解を求めていく考えを示した。

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