「ドラマ出演が決まったときは、素直にうれしかったです。でも、その役柄は、天才エンジニアでベンチャー企業の副社長! 技術者としても、劇中で鍵を握ると聞いて、驚きでしたね」
こう話すのは、池井戸潤原作の人気ドラマシリーズ・日曜劇場『下町ロケット』(TBS系・日曜21時~)に、今作からエンジニア・島津裕役で出演しているイモトアヤコ(32)。同ドラマは、町工場の二代目社長・佃航平(阿部寛)が、数々の挫折を味わいながらも社員らとロケットエンジン開発に挑戦を続けるエンタテインメント巨編だ。
第1話、佃航平率いる佃製作所は、島津が所属する企業「ギアゴースト」のコンペに参加。佃製作所の部品(バルブ)に、島津が「細部にわたり手が込んでいる。こちらの要求する性能をすべて満たしている」と、涙をぽろぽろ流すシーンは、バラエティでは見せないその演技力にSNSなどで称賛の声が集まった。
『下町ロケット』での共演者は、阿部寛、尾上菊之助、竹内涼真と、ものづくりにかける男たちだ。
「ちょうど私がエベレストに行ったとき、阿部さんも映画の撮影で、ほぼ同じ場所にいたそうです。ベースキャンプや高山病はどうだったとか、共通の話題を見つけて話しかけてくださったのがうれしくて……」(イモト・以下同)
ギアゴースト社長・伊丹役の尾上菊之助とは、長く撮影時間をともにしている。
「演じている所作や、『島ちゃん』という呼び声や言葉、どれをとっても美しく見えるのが菊之助さん。休憩中は、いつも一緒に『どう芝居をしようか』と話しています」
男性陣に囲まれて、慣れないドラマ撮影をこなすのは大変なはずだが……。
「たしかに島津同様、私もピンチの連続です(苦笑)。『え? 特許侵害!?』『訴訟!? 15億!?』と、驚きの表情を浮かべる場面が多く、目がすごく疲れるんです。『イッテQ!』のロケは、筋肉痛になるだけなんですが(笑)。そんなとき、その悩みを菊之助さんに話したら、パイプ椅子を使った目のほぐし方を教えてくれたんですよ。この椅子をね……」
というとイモトは立ち上がり、椅子の、下側のパイプを指した。
「首の後ろに目のツボがあるので、床に寝転がり、パイプで首の後ろをグリグリ押すといいんですって。新潟の田植えロケのときに、安田(顕)さん、朝倉あきちゃん、菊之助さんと、みんなで寝転がって首をぐりぐりやってました(笑)。そんなアドバイスをくれる菊之助さんとの現場は、とても楽しかったのですが――」
第5話(11月11日放送)では、過去の復讐心に火がついてしまった伊丹に裏切られる形で、島津はギアゴーストを退社することに。別れ際には、伊丹から島津へ、「島ちゃんはもう、必要ない」というせりふも――。
「その撮影の日は、丸1日重たい気持ちでしたね。でも実は、撮影の前日、菊之助さんが、『いつものように話しかけるのは控えておきます』という旨のメールを事前にくださったんです。ヒドイせりふも言いますし、いつものように和気あいあいと話していると、別れ際の雰囲気に説得力が出ない、と考えてのことだと思います。『もう伊丹とは関わらない』と思って別れてるのに、そんな心配りがあったら、逆に嫌いになれないですよね(笑)」
ナチュラルメークにシンプルなパンツスーツを着こなす島津役に、愛着が湧いてきたと話すイモト。自身との共通点も見いだしている。
「私、腕時計が好きなんですが、女性用よりも、雑誌『LEON』に出てくるような、成熟した大人の男性が好むような時計が好きで、きっと島津もそういう時計が好きなんだろうなぁ、って(笑)。劇中で阿部さんを車に乗せて運転するシーンがあるんですが、島津が乗っている旧車がすごくカッコよかったから、“島津とは趣味が合うな”と」
阿部を車に乗せたり、菊之助と間近で向かい合ったりと、“男前俳優”と2人きりで撮影する場面も多い。“イケメン好き”を公言するイモトに、「佃製作所メンバーで恋をするなら誰!?」と聞いてみた。
「竹内涼真さんは、やはり誰が見てもカッコよくて、撮影で疲れたときに“チラ見”して目の保養をしていますね(笑)。安田さんは、男性陣の輪の中に、私を交ぜようと話をふってくれるんですが、ふとしたときにセクシーな色気があって……。色っぽいといえば、立川談春さんもカッコいいし、阿部さんもダンディーですし……あ~男前が多すぎる!(笑)」
ギアゴーストを退社し、島津も新しい人生の岐路に立たされている。島津のこれからを聞いてみると――。
「今は最終話の撮影中ですが、私も島津がこれからどうなっていくのか知らないんです。でも、退社後も、ドラマに登場してくることは確かです!」