「ふだんから役を(家に)持ち帰ることはあまりないですが、この作品は特に持ち帰りたくなくて……。撮影で使ったトオルの家にクランクインの数日前から住んでました」
そう驚きの役作りを語ってくれたのは、現在公開中の映画『銃』で主演を務めている村上虹郎(21)。西川トオル(村上)は雨の夜、銃を拾い自宅に持ち帰る。次第に銃は彼にとってかけがえのない存在になっていき、彼の日常を狂わせていく――。
「自分の空間じゃない場所でリセットする必要があって。お風呂もないから電車に乗って、3駅隣の銭湯に通ってました。状態をよくするためにサウナに入ったり(笑)」(村上・以下同)
とはいえ、ずっと役のままでいるわけではないんだとか。
「虹郎に戻ったり、トオルになったりの繰り返しでした。物理的にはトオルの家に住んでるから、お邪魔してる感覚はなかったです。虹郎としてのメールとかもしていましたけどね(笑)」
本作では父・村上淳(45)との共演も話題になっているが、芝居のアドバイスなどはあったのだろうか。
「あったかもしれないです。でも、どっちかっていうと親父が現場での過ごし方をいつもよりもわかりやすく示してくれました。スタッフさんとの距離感、会話の仕方、カメラの今のサイズを聞いて、それに対して今自分はどこにいればいいなど。現場の回転をスムーズにするっていう、役者の立ち位置でできるマックスの姿勢を見せてくれました」
まさに背中で見せる芝居だったというが、父の尊敬するところは?
「発想力豊かなので、能動的にいろんなアイデアを持ち込むところ」
そんな姿勢を一部もらいつつも、どちらかというと母親似だという。
「人生観や死に対する距離感、物事を宇宙規模で考えるところは似ています。母親はネーチャーだから」
父、母から受け継いだものを生かしながらも、村上が目指すのは?
「不自由な役、マイノリティな役に挑戦してみたい。観客にとって出会いづらいものを発信することに意義を感じる。難しいけれど、マイノリティの方を傷つけずにエンタテインメントに転換することは大切だなって思います。そして知名度を上げて、いつか世界的な人になりたいです!」