「娘の遺骨は、私の自宅に置いてあります。実はいま引っ越しの準備をしていて、私も慌ただしく過ごしているので、納骨もまだ済ませていないのですよ」と語るのは有賀洋さん(85)。元フジテレビアナウンサー・有賀さつきさん(享年52)の父親だ。
有賀さんが亡くなったのは昨年1月30日だった。娘の急逝に際して洋さんが決意したのは、“静かに娘を送ってあげたい”ということだった。
「きっとニュースで報じられて大騒ぎになると思いました。偶然ですが病院に、あるお寺のご住職が来ていたので、ご相談したら、すぐに葬儀社を呼んでくれて、その日のうちに火葬していただくことになりました。もちろん娘にもお世話になった方が大勢おります。でも、そのときに私の頭を占めていたのは、世間に騒がれずに送ってあげることと、孫の将来のことでした」
‘88年にフジテレビに入社し、八木亜希子アナ(53)や河野景子さん(54)とともに“3人娘”として人気になった有賀さん。女子アナブームをけん引した彼女の早すぎる死は、洋さんの予想通り、世間に大きな衝撃を与えた。
有賀さんは’02年に上司だった元フジテレビ解説委員の和田圭さん(66)と結婚し、長女・A子さん(16)をもうけたが、’06年に離婚している。80歳を越えている洋さんが、孫娘の将来を託したのは、和田圭さんだった。
「私の妻も亡くなっていますし、さつきにもきょうだいはいません。A子と和田さんは8年ほども会っていませんでしたが、これから何年生きられるかわからない私と暮らすよりは、和田さんと暮らすほうがA子のためになると思ったのです。逡巡しながらも和田さんが承諾してくださったことは本当にありがたかったです。神様はいる、と思いました」
東京都内の一戸建てに住む和田さんとA子さんの生活が始まってから10カ月ほどになる。
「生活はとても順調なようです。私と孫はメールのやり取りをしていますので、彼女の元気な様子は把握しているのです。A子は昨年夏にボストンでサマースクールにも参加しました。一昨年は、さつきも付き添ったのですが、昨年は1人で現地に行ったそうです。孫も成長しているということでしょう」
1月30日に有賀さんの一周忌を迎えるが、やや寂しいものになりそうだという。
「通夜や告別式にも孫の同級生やその親御さん、先生方は参列いただきましたが、仕事関係の方などは誰もお呼びしませんでした。だから一周忌だからといって特に法要は行わないつもりですし、A子がうちへ焼香に来たりする予定もありません。さつきの納骨は、私の引っ越しがひと段落ついた後、春ぐらいになると思います。私の妻も眠るお墓が、この家からそう遠くない高台にあるんです。晴れた日には富士山もよく見えるいい場所ですよ」
有賀さつきさんは、これからもその高台から愛娘・A子さんを見守り続けることだろう。