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「トロントでの生活はベールに包まれています。そのため彼がいま何をしているのか、誰も知ることができない状況です。世界選手権まで、もうほとんど時間がありません。本当に大丈夫なのでしょうか……」(スポーツ紙記者)

 

昨年11月に行われたGPシリーズロシア杯での練習中に転倒し、右足首の靱帯を損傷した羽生結弦(24)。ケガを押して出場した大会では見事に優勝を飾った。だが、代償は大きかった。その後のGPファイナルや先日の四大陸選手権も欠場。世界選手権は約1カ月後に迫っている。そんななか、1月26日にコーチを務めるブライアン・オーサー氏(57)が彼の近況についてこう発表したのだ。

 

「羽生は世界選手権に出場する準備をしている。彼は最近、リンクでの練習を再開した」

 

この“復帰宣言”に、多くのファンが沸いた。

 

「久しぶりに羽生選手の演技が観られるかもしれないとあって、ファンの期待も最高潮です。さらに今年の世界選手権は、5年ぶりとなる日本での開催。『なんとしても羽生くんの勇姿を見たい』というファンたちがチケットの争奪戦を繰り広げています。ネットオークションでは40万円以上の値がつくほどの過熱ぶりです。世界選手権は、今シーズンの締めくくりとなる大会。羽生選手も『絶対に優勝して日本で有終の美を飾りたい!』と意欲を燃やしていることでしょう」(スケート連盟関係者)

 

これまで羽生は数々の伝説を残してきてきた。とはいえ、約4カ月のブランクを抱えるのも事実。

 

「果たしてそんな状態で、王座を奪還することができるのか?」と危ぶむ声も、一部から上がっているという。

 

そんななか、10年にわたり羽生を取材してきたスポーツ・ジャーナリストの野口美惠さんはこう太鼓判を押す。

 

「羽生くんはこれまで何度もケガや病気を乗り越えてきましたし、数えきれないほどの実戦経験もあります。数カ月試合をしなかっただけなら何も心配はありません。むしろ全日本選手権や四大陸選手権に出ないことで、しっかりと自分のペースでリハビリできていることでしょう。彼ならきっと、世界選手権にピークを持ってきてくれると思います」

 

“奇跡の復活”を信じて疑わない野口さん。その理由は、羽生の回復の早さにある。前出のスケート連盟関係者もこう語る。

 

「平昌五輪の際も直前にケガをしましたが、驚異的な回復力で間に合わせることができました。それを可能にしているのは、羽生選手の集中力。彼はケガをしたとき、とことん休むことに集中するのです。つまり休養についても彼は超一流ということです。医学的に、イメージトレーニングはケガの回復を早める効果があるといわれています。そのため彼は療養中に『復帰して表彰台に立っている自分の姿』を常に想像するそうです。そのイメージトレーニングは、周囲が驚くほど具体的。細かいところまで思い描くことで、精神統一と早期復活の実現性を高めることができるのです」

 

また焦る気持ちを抑えるため、オフの羽生は別の顔を見せるようだ。野口さんがこう続ける。

 

「羽生くんは、オフに関しても追求するタイプです。たとえば彼のストレス解消法はゲームで、『モンスターハンター』など人気のゲームを楽しんでいます。宇野昌磨選手(21)は『強くなるためなら手段は選ばない』としてよく課金をするのですが、羽生選手は完全無課金主義。徹底的に調べ抜いて攻略法を模索するらしく、『徐々に技術を高めて強くなっていくところが、スケートに通じるものがある』と言わんばかりに夢中のようです。それに音楽を聴くのも好きで、お気に入りのイヤホンで聴いてモチベーションを高めるといいます」

 

音質にもこだわる羽生は、50本以上のイヤホンを所有。20万円を超える特注品もあるという。こうした極秘メントレやとことん休むことにより、氷上復帰後の調整も劇的に早めることができるという。

 

「羽生選手は、練習再開から6週間でピークまで持ってくることができるそうです。これは他のトップアスリートと比べても、かなり早いペースです。今回1月末の時点ですでに氷上復帰しているのであれば、3月18日から始まる世界選手権に間に合わせることもできるでしょう」(前出・スケート連盟関係者)

 

幾度となく“奇跡の復活”を果たしてきた羽生。1カ月後、日本で再び歴史を塗り替えるだろう。

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