「ハッキリしているのは、これから璃花子の闘病を家族一丸となって支えていかなければいけないということ。来年の東京五輪や今後の水泳生活がどうなるのかもわかりません。それよりも孫には元気になってほしいという気持ちでいっぱいです……」
絞りだすようにそう語ったのは、池江璃花子選手(18)の母方の祖父。その言葉には、“孫を救いたい”という強い意志がにじんでいた。
2月12日に日本競泳界のエースである池江選手が白血病を告白してからすでに1週間、しかし日本は動揺から脱せないでいる。池江選手の両親は離婚しているが、千葉県内に住む父とその両親も彼女を見守り続けてきた。父方の祖母は言う。
「私たちにも病気のことや、今後は治療に専念していくことなどの連絡はありました。あの小さかった璃花子が水泳選手として成長を続け、東京五輪のメダリスト候補と呼ばれるようになるなど、本当に驚きの毎日でした。璃花子のお母さんには感謝の言葉しかありません。病気のことでは息子も私たちも呆然としています。いまは璃花子が回復してくれることをひたすら祈っている状態です」
祖母が語る“ひたすら祈る気持ち”……すべての人々がいま同じ気持ちを抱いている。家族たちも日本も悲嘆にくれるなかで救いになっているのは、病室にいる池江選手自身が前向きな気持ちをツイッターで力強く発信し続けてくれていることだ。
《今は少し休養を取り、治療に専念し、1日でも早く、また、さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう頑張っていきたいと思います》(2月12日付)
《私は、神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はないと思っています》(2月13日付)
スポーツ紙記者は言う。
「池江選手にはこれまでも数々の名言を生み出してきました。《人ができたことは自分もできると思うんです》。お母さんが小さいころから『ポジティブにしないといけない』と、暗示をかけていたそうです。池江選手を襲った衝撃は想像を絶しますが、それでも“闘う姿勢”を崩さないのは、本当に強靭な精神力だと思います。さらに凄いのは、自分をポジティブに保とうとしているだけではなく、ショックを受けているであろう友人たちを逆に励まし続けていることです」
2月14日、小学生時代からライバルであり親友の今井月選手(18)は池江選手から電話で病気を告げられたことを明かした。
「そうなっちゃったからルナは頑張ってね」
そんな親友の言葉に、今井選手は競技人生への思いを新たにしたという。
病室からの“勇気のメッセージ”を受けたのは今井選手ばかりではないという。池江選手は競泳以外でも同学年のアスリートである卓球の伊藤美誠選手(18)、平野美宇選手(18)らとも仲が良く、LINEやメールなどで連絡を取り合っている。平野選手の母・真理子さんは言う。
「娘は池江さんを尊敬していて、『いつもはすごくふつうっぽいのに、試合になるとスイッチが切り替わってメダルをとっちゃう』と言っています。娘も池江さんが白血病を公表したすぐ後にメッセージを送り、返信もいただいたようです。『献血や(骨髄バンクの)ドナー登録って大事だね』と言っていましたが、娘も“誰かの役に立たなければ”という気持ちを強めているようです」
ポジティブ思考のほかにも池江選手には水泳で培った武器がある。それはイメトレだ。
「彼女は幼いころから眠る前にイメトレをするのが日課でした。横になって、泳いでいるときに何回呼吸をするかをイメージしたり、試合前には優勝したシーンをイメージしたりするそうです」(前出・スポーツ紙記者)
“私は白血病に負けない!”と回復した自分をイメージし続けることで、絶対に病魔に打ち勝ってほしい。