JAおきなわと佐藤食品工業(愛知県)は、県産シークヮーサー果汁を粉末にした製品を共同開発した。従来のシークヮーサー粉末は絞りかすや皮ごと砕いて作るため苦味やえぐみがあったが、果汁から粉末にする独自の製法により、爽やかな酸味を感じる味わいを実現した。溶かしてかんきつ飲料として手軽に利用できるほか、お菓子や料理の原材料として使い勝手がいいなど、JAおきなわではシークヮーサーの全国的な利用拡大につながると期待を寄せている。
県内のシークヮーサーは主に加工用として果汁(液体)が県内外へ流通している。だが、重量がかさむ液体は輸送にコストがかかる課題がある。また、味わいの点からも、果汁から粉末が作れないかという声が菓子メーカーなどからあったという。
JAおきなわは佐藤食品工業に技術提供を依頼し、約1年半をかけて共同で開発を進めた。液体を急速に乾燥させる「スプレードライ」という技術を用い、食物繊維であるデキストリンを入れて果汁から粉末にすることを可能にした。
粉末化で体積が小さくなり、輸送コストを果汁の約4分の1まで削減することが期待できるという。
液体である果汁はパンやケーキなどの粉ものの菓子類とは相性が悪いとされていたが、乾燥した粉末を利用することで、シークヮーサーを使ったスイーツや料理への利用も幅が広がる。
琉球温泉瀬長島ホテルのオーシャンダイニング「風庭」では18日から、シークヮーサー粉末を使って鶏肉料理や鍋料理を提供している。砂川直樹統括総料理長は「風味付けで粉末をソースにしたり、肉を柔らかくしたりするのに使っている。粉末だと1年を通して使えるので便利」と話した。他のホテルでも、宿泊客が到着時のウエルカムドリンクで提供する予定がある。
JAおきなわではメーカーや飲食店向けの業務用だけでなく、粉末を個包装にした一般販売用の商品化を進めており、6月の店頭発売を目指している。
(石井恵理菜)