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ゴールデンウイークの語源は映画の宣伝用語。今週は、“映画三昧”というのはいかがでしょうか?

 

劇場公開や、ネット配信、そしてDVD化……日本で観られる映画は年間で約600本から700本と言われている。そのうちの約500本を鑑賞しているというのは、映画コメンテーターの有村昆さん(42)。GWにおすすめの“必見映画”を紹介してもらった。

 

――今回は有村さんにアラフィフ女性におすすめの映画を紹介して頂きたいのですが、有村さんの奥さんである丸岡いずみさん(47)もその世代にあたります。奥さんにも映画をすすめたりするんですか?

 

有村 やってますよ。「ボヘミアン・ラプソディ」を「早く見ろ!」って言ったのに、全然見ないんですよ。「アナと雪の女王」が大ヒットした時も、ワイドショーとかでガンガン話題にされるようになってやっと、「昆ちゃん、アナ雪ってすごいの?」「いや、俺、最初から、さんざん言ってたよ!」って。

 

――奥さんは世間が騒ぎ出してやっと耳を傾けるタイプですね……ぜひ、私たちにも、オススメの公開中映画を教えていただけますか?

 

有村 わかりました。

 

■「グリーンブック」(配給・ギャガ、以下は有村さんによるコメント)

 

今年のアカデミー賞の作品賞を取った作品。主人公のトニーは黒人差別主義者だったんですが、そのトニーに金持ちの人から運転手の仕事の話が来た。ところが、その金持ちは黒人。彼はジャズピアニストで、アメリカでも黒人差別が色濃く残る南部に、車でコンサートツアーに出ることに。そこで、トニーがその際の運転手をやることになるんです。はじめ、トニーは、黒人にたいして「いやだな…」という思いを持つのですが、だんだんと二人の間に友情が芽生えてくるという話なんです。本作のプロデューサーの父親が経験した実話なんですよ。

 

日本映画って、例えば、在日問題とかを映画化するかって言えば、あまりしない。そういった差別に、あまり触れない文化が日本にはあるんです。でもアメリカは、今まで差別してきたことも、堂々と話題にしちゃうんですね。

 

この映画は1960年代の話で、50代の方が生まれたころの話。だから、自分たちが生まれたころのアメリカは、こんな感じだったんだというのが、わかる映画です。

 

■「THE GUILTY/ギルティ」(配給・ファントム・フィルム)

 

この映画はデンマークの作品で、アカデミー賞外国語映画賞の最終選考9作品に残ったんです。

 

警察のコールセンターに、女性から「誘拐されました」という電話がかかってくる。主役であるオペレーターは、『犯人にバレないように“イエス・ノー”で質問に答えてください』とか、いろいろ指示を出して、彼女の救出を試みるんです。しかし……最後にびっくりする真犯人がいる、という結末が待っているんです。

 

なんと、この映画でスクリーンに登場する人物は1人。普通に考えたら、コールセンターの場面から、誘拐されている女性の場面に切り替わりそうなものですが、誘拐された女性は出てこず、電話の音だけでの出演。だからコールセンターからカメラが一歩も出ない、ワンシチュエーションの設定なんです。

 

主演を務めた役者も無名の俳優、いわゆる低予算映画なんですが、これが面白い。同じく低予算映画で話題になった「カメラを止めるな!」(’17年公開)にハマった人は、好きだと思います。

 

■「ローマ」(配給・なし ネットフリックスにて公開)

 

アカデミー賞監督賞を取った、1970年代のメキシコを舞台にした作品です。アカデミー賞のここ10年ぐらいのラインナップを見ると、本作のアルフォンソ・キュアロン監督もそうですが、メキシコ系の監督がバンバン賞を取ってるんですよ。ちなみに、このキュアロン監督は、’13年に「ゼロ・グラビティ」でメガホンを取っており、こちらでもアカデミー賞を受賞しています。

 

この作品は、その監督の実体験に基づくお話。彼が子供だった時にお手伝いさんがいて、凄く可愛がってもらっていたんですけど、肌の色が黒いからという理由でとても弾圧されるんです。でもそのお手伝いさんには大変な過去があった……というお話です。

 

「グリーン・ブック」と同じく、人種差別がテーマの映画。しかし「ローマ」は、インターネットの動画配信サービス「ネットフリックス」のオリジナル作品。劇場公開はしていません。僕の個人的な考えですが、「ローマ」がもし劇場公開していたら、作品賞を取っていたでしょうね!

 

アラフィフの方も、この作品をきっかけに、ネットでの映画鑑賞サービスを始めてみてはいかがでしょうか?

 

(取材・文:インタビューマン山下)

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