スタジアム外のグッズ販売店で笑顔で接客する「シンカ」の石川愛果さん(左)と知念都紀子さん(奥) 画像を見る

 

サッカーJ2のFC琉球は町田戦(4月27日)で引き分け、ホーム無敗記録を前人未到の「27試合連続」に伸ばした。攻撃的スタイルが確立する以前、「負けることが普通」の時代から琉球を支えている人たちがいる。ボランティアの「シンカスタッフ」だ。会場設営やグッズ販売など、さまざまな活動を15年以上続けている。県民に愛されるチームは、このような献身的な活動によって支えられている。 (喜屋武研伍)

 

誰よりも

2003年のチーム発足当初から活動し、2年前にしまくとぅばで仲間を指す「シンカ」という名前がついた。スタッフは現在7人。チーム創設時から支援を続けている佐久川実さん(63)は子どもがアカデミーにいたことが活動のきっかけだった。

 

昔はスポンサーも少なく、選手たちは居酒屋などでアルバイトをしながらサッカーを続けていた。そのひたむきな姿を見るうちに、佐久川さんは「地元沖縄を盛り上げるチームを応援したい」と積極的に活動に参加した。今では選手やスタッフ、フロント陣の誰よりも長く琉球に携わり、運営のノウハウも熟知している。「チームを支えることが、生きていく動機付けだね」と照れくさそうに話した。

 

好きだからこそ

活動内容は座席案内や会場設営のサポート、場内清掃など多岐にわたる。観客がぞろぞろと集まり出すキックオフの1時間前。「いらっしゃいませ」、「ありがとうございました」。グッズ、チケット売り場ではシンカスタッフの明るい声が聞こえ、ホーム戦のわくわく感を高めてくれる。

 

JFL時代から支える知念都紀子さんは、グッズ売り場でてきぱきと作業をこなす。

 

J2に上がってからグッズの種類も増えたが「(お客を)待たせるのは嫌だ」と値段と商品を全て覚えた。細かな活動ぶりから、周囲の信頼も厚い。

 

愛される存在に

「負けるのが普通だった」(知念さん)厳しい時代を知っているが、「チームとフロントが好きで、シンカメンバーがいたからやってこられた」と振り返る。強豪柏と引き分けた試合後のこと。ユニホームを求めてきたお客が、サイズの在庫がなくても「サッカー面白かった。FC琉球最高だね」と一回り大きいサイズを購入し、笑顔で握りしめて帰っていった。琉球がさらに県民に愛されるチームになっていくのを、最前線で感じていた。

 

スタッフ2年目の石川愛果さん(23)は「誰もが応援したくなるようなチームになってほしい」と期待を寄せる。最も長く琉球に関わっている佐久川さんは「もっともっとスタッフ一丸となって応援していきたい」と意気込む。知念さんは「みんな頑張っている。陰ながら応援を続けていきたい」と話した。頼もしい「シンカ」が琉球の背中を押し続ける。

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