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「一時退院ができていることや、(写真の)池江選手の表情から見ても、治療は順調と思われます」

 

そう語るのは、これまで数多くの白血病患者を担当してきた江戸川病院腫瘍血液内科副部長の明星智洋医師。

 

東京オリンピック開幕まで400日あまりとなった6月5日、競泳の池江璃花子選手(18)が公式ホームページで写真とメッセージを公開した。

 

《退院中は家族で食事を楽しんだり、外の空気をたくさん吸ってのんびりした日を過ごしました。もう病院には戻りたくない! と思うときもありますが、人生の中のたった数ヶ月だと思って自分を奮い立たせてます》

 

2月12日に白血病に罹っていることを明かしてからすでに4カ月。彼女はそのほとんどの日々を病院の無菌室で過ごしている。明星医師は言う。

 

「年齢や報道されている症状から、池江選手はリンパ性の白血病だと推測しています。リンパ性の場合、第一段階として『寛解導入療法』と呼ばれる強力な抗がん剤治療を行います。この治療のために、ちょっとした菌にも感染しやすい状態になってしまいますので、無菌室で過ごさなければいけないのです」

 

池江は現在、第二段階である『地固め療法』を受けている状態だという。

 

「寛解導入療法と同様に強力な抗がん剤を用います。体内に残っている可能性がある、がん細胞を叩くことで、さらなる寛解状態を目指すのです。地固め療法の抗がん剤投与の回数は4~5回。1回あたり1カ月ほどかかり、状態が良ければ、投与と投与の合間に1週間ほどの外出も許可されます。免疫力が低くなっているので、人混みは避けたほうが良いですね」(明星医師)

 

池江は病室の中で東京五輪への挑戦を続けている。三木二郎コーチは、病室に自転車トレーニングができる器具を持ち込んでいることも明かしている。

 

「治療開始当初は運動もできず、体力は相当に落ちてしまいます。池江選手はエアロバイクを持ち込んだそうですが、一般的には鉄アレイなどでの筋トレを医師が指導するケースも多いです。池江選手は、来年4月の大会(※日本選手権)に出場し、五輪出場権を獲得することを励みに頑張っているのでしょう」(明星医師)

 

競泳界でも、エース・池江の復帰は熱望されている。’72年のミュンヘン五輪、男子100メートル平泳ぎで金メダルを獲得した田口信教さんは次のように語る。

 

「私も池江選手の東京五輪出場は、十分可能だと信じています。彼女にはリオ五輪出場という経験があります。一度五輪に出場した選手は、自分の身体をどうすれば五輪レベルに持っていけるかというテクニックを知っているのです。確かに練習方法は限定されていますから、筋力も落ち、体重は減っている状態だと思います。しかし水泳でいちばん大切なのはテクニック。池江選手であれば半年ほどで、元の筋量に戻すことは可能だと思いますし、完全に戻らなかったとしても、体重減が幸いする可能性もあるでしょう」

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