違法に設置された選挙用の横断幕を撤去する那覇市道路課の職員=12日午後、那覇市内 画像を見る

 

街頭で見かける選挙用ののぼりやポスター。これらのほとんどは公職選挙法に違反しているものだ。今回の参院選で、県選挙管理委員会が各陣営などに出した撤去命令は2213件と、2016年の前回参院選よりも約千件増加した。違法掲示物の撤去を行っている那覇市道路管理課のパトロールに記者が同行すると、約3時間で30件近い違法掲示物が見つかった。

 

12日午後1時半。那覇市役所横で黄と白のツートンカラーの公用車に乗り込んだ。同行したのは同課占用グループの平良昌史さん(56)と糸数義直さん(43)のペアだ。

 

出発してわずか3分後。比例区に出馬した候補のポスターが電柱に張られていた。その100メートル先には、選挙区の候補者ののぼりも。平良さんたちはペンチやカッターで、掲示物のひもを切り、車に積み込む。さらに5分後には、長さ2メートルはあろうかという横断幕が小学校近くの交差点のガードレールに付けられていた。「選挙の公平性だけでなく、道路の安全面でも問題だ」と平良さん。交差点の見通しは悪かった。

 

公選法は選挙区の候補者については指定掲示板以外の掲示を禁じている。比例区についても、設置の許可を受けなければ公選法違反だ。この日のパトロールで撤去したのは20件あまり。即座に撤去できず「違反」を警告するシールを貼ったものも合わせると30件近くに上った。また、市が撤去の権限を持たない県道や国道にも多くの違反掲示物が見つかった。

 

ある選管関係者は「撤去しても撤去してもいたちごっこ」と顔をしかめるが、那覇市選管の上原徳一郎事務局長は「観光都市のイメージも損なう。今後もパトロールを徹底する」と話していた。

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