指定暴力団旭琉会の男性幹部が昨夏、沖縄県名護市辺野古の新基地建設の埋め立て用土砂を採掘する開発に関わろうとしていたことが16日までに分かった。同幹部や関係者が本紙取材に答えた。埋め立てに使用できる岩石が採取できないことが判明したため、関与を断念した。行政機関は公共事業を発注する際に暴力団排除条項を設けており、暴力団関係者が公共工事などに関われない仕組みになっているが、今回、民間事業者を通して新基地建設工事に介入しようとしていたことが明らかになった。県警は、暴力団が新基地建設工事に絡もうとする実態があるとして警戒している。
2018年8月、与那原町の飲食店で知人の自営業男性と共謀して、東村高江の山に試掘権を設定している沖縄市の建設業者を脅したとして、県警はことし1月、恐喝未遂容疑で男性幹部と自営業男性を逮捕した。2人は、建設業者が計画する鉱山開発事業や名護市のリゾート開発に関わる権利を奪おうとしたとされる。
那覇地検は1月30日、2人を不起訴にした。2人は取材に「脅してはいない」と否定している。
建設業者は東村高江の山の約35万平方メートルに試掘権を設定し、鉱山開発事業などを計画している。昨年、開発計画を聞きつけた旭琉会幹部が県外から専門家を招き、山の地質調査をしたが、埋め立てに使用できる岩石が見つからなかったため断念したという。
防衛省は2014年、県への埋め立て申請の際、県内外にある土砂採掘場所や搬送ルートを書類で示している。
仮に東村高江の土砂の使用を計画しても防衛省は県に設計変更の申請をする必要があるとみられ、県が承認する可能性は低い。
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