バスケットボールをいつでもできる環境をつくりたい―。熱い思いを胸に、個人参加型のバスケイベントを公共の体育館で毎週末開いている男性がいる。バスケ専門店「ステップバイステップ」(那覇市)で働く花城清孝さん(31)=沖縄市=だ。学生時代、部活動になじめず、プレーする場所に苦労した経験を胸に「自由に楽しんでほしい」と参加を募っている。
8月24日午後8時、西原町民体育館。8人の学生や社会人がボールを追い、コートを駆けていた。初対面でも速攻や3点弾が決まれば笑顔でハイタッチ。初参加の稲嶺盛亜さん(36)=西原町、会社員=は「2、3年前にチームが解散しプレーできる場がなかった。ありがたい」と爽やかに汗をぬぐった。
催しの名前は「From Street(フロムストリート)」。基本毎週土、日に3時間ずつ本島中南部にある公共の体育館で開き、事前に会員制交流サイト(SNS)で申し込めば誰でも参加できる。
小学生でバスケを始めた花城さん。父とチームをつくり、練習メニューも自分たちで考えて自由に楽しんでいた。しかし越来中とコザ高では規律のある練習になじめず、どちらのバスケ部も半年以内に退部。近隣の美里公園にある“ストリート”のコートが唯一プレーできる場になった。
ただ野外のコートは天候や時間帯に左右され、いつでもバスケができる訳ではない。「夜はボールが見えないし、暑くてまともにできない日もある」。そんなもどかしさが、花城さんに将来の夢を与えた。「いつでも、誰でもバスケができる場をつくりたい」
目標の第一段階として、2017年10月に始めたのが現在の形だ。体育館の使用料は参加料で賄い、もうけは出さない。休日はほぼ催しで埋まるが「大変だけど楽しい。今は平均15人くらい来るし、いろんな人とのつながりもできてきた」と苦にならないという。
県外には建物の屋上に屋根を付けたり、倉庫を改装したりして民間の事業者がコートをレンタルしているケースも多い。花城さんは「県内でW杯がある23年までにレンタルコートをつくり、沖縄のバスケを盛り上げたい。カフェも併設して、一日中バスケが楽しめる場にしたい」と目を輝かせた。
(長嶺真輝)