突然の倒産で、親が慣れ親しんだデイサービスからヘルパーさんが迎えに来なくなるーー。そんな憂き目に遭わないために、潰れない施設の見分け方を専門家に聞いた。
高齢者人口が年々増加するなか、介護を必要とする人口も増えている。厚生労働省は、’12年当時、約460万人だった認知症患者数が、’25年には約700万人(高齢者の5人に1人)になると予測している。
一方で、近年、介護サービスを提供する老人ホームなどの倒産が急増している。企業信用調査会社の東京商工リサーチによると、’19年上半期(1〜6月)の「老人福祉・介護事業」の倒産は55件。介護保険法が施行された’00年以降では、年上半期で過去最多を記録した。
そして倒産した事務所の約8割が、訪問介護事業、デイサービスなどの通所・短期入所介護事業。いわゆる小規模事業者だった。
「小規模業者はこれからどんどん淘汰されて、大手が経営する介護施設が主流になっていく」
こう予想するのは、介護アドバイザーで、年間220本以上のセミナーをこなすAll About「介護」ガイドの横井孝治さん。
「自分の親が入所した施設とか、介護サービスの提供を受ける事業所が潰れてしまうということが普通に起こっています。たとえば、老人ホームを運営する会社が倒産してしまった場合、入居の際に払った一時金を失ってしまうリスクがある。利用者はそうなることを防ぐために、信用力のある大手の施設を選ぶという流れになっていくと思います」
利用者がいちばん困るのは、自分や親が慣れ親しんだ施設が突然倒産してしまうことだ。次の施設がすぐに見つかるかどうかもわからない。見つかるまでの生活をどうするか。新たな介護費用についても考えなくてはならない……。
倒産しそうな介護施設かどうかを判断するためにはどうすればいいか。東京商工リサーチ情報本部情報部の後藤賢治さんに、チェックすべきポイントを教えてもらった。
■まずはホームページで資本金額と設立年月日を確認しよう!
「’19年度上半期に倒産した55の事業者のうち、48の事業者は資本金1,000万円未満でした。資本金の目安として1,000万円以上あるかどうかをチェックしてください。さらに設立5年未満で倒産した事業者は55件中17件。経営年数が5年以上かどうかも、倒産しそうかを判断する基準になります」
■より正確な情報を得るためには、商業登記簿で確認を!
「ホームページには必ずしも資本金や設立年月日が掲載されているわけではありません。さらに、他業種の経営が長く、最近介護事業に参入した会社の場合、ホームページに書かれている設立年月日は介護事業に参入した年ではない可能性もあります。その場合は会社の商業登記簿で確認してみてください。法務省のサイトや法務局で、数百円の手数料で取得できます。これなら資本金や設立年月日、いつ介護事業に参入したかなど、一目瞭然です」
■事業者に直接聞く
「契約する前に、施設内の様子、介護職員の数、仕事ぶりなどもしっかりチェックしましょう。直接事業者に経営方針や経営状態を聞いても構いません」
すでに親が介護施設に入所している、あるいは、いま探しているという人もいるだろう。まずは倒産しない事業者かどうか。さっそく調べてみることだ。